第二十四話 国友その十
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「そうするぞ」
「はっ、それでは」
「尾張に直接攻めるのは」
「それはですね」
「そうじゃ。それは止める」
また言う義龍だった。
「仕方ないがのう」
「ではやはりここは」
「刺客ですか」
「それをですね」
「尾張を攻められずともあのうつけは攻められる」
信長はだというのだ。彼はだ。
「所詮うつけよ。攻めるのはたやすい」
「確かに。尾張の統一も所詮は運故です」
「その程度ですので」
彼等の多くもだ。信長についてはそう見ているのだった。
そしてそのうえでだ。彼等も言う。
「では。あのうつけを討ちましょう」
「さすれば尾張の主はいなくなりますので」
「ですから」
「そうよ、あの森も平手も守る理由がなくなる」
そのことも狙っていた。義龍はただ信長憎しで動いているのではなかった。彼なりのしっかりとした戦略があってのことなのである。
そのうえで刺客を出すとしてだ。彼はまた言った。
「尾張を手に入れれば大きいからのう」
「一万五千の兵があり」
「しかも六十万石はあります」
「町もかなり発展しているとか」
発展させたのかは誰かまではだ。彼等は考えなかった。そうした意味で信長という男を完全に侮ってしまっているのだった。
しかもだ。そのうえで彼等はさらに話すのだった。
「その尾張を手に入れれば」
「最早今川も浅井も恐れることはありませぬ」
「武田ですらも」
「そうよ、武田もだ」
義龍もだ。隣国信濃を手中に収めた武田の脅威は感じていた。それもかなり強くだ。
だからこそだ。彼は尾張を狙っていたのである。
「武田は今は信濃を治めるのに専念しておる」
「上杉との戦もありますし」
「それもですね」
「その間足止めは受けておる」
そうなっているというのである。
「しかしじゃ」
「やがては動く」
「そうしてきますな」
「間違いなく」
「武田はあまりにも強い」
天下の誰もが知っていることだった。
「あの赤い軍勢は尋常ではないからのう」
「兵はあまりにも強く騎馬隊も揃っております」
「しかも将もです」
「あの二十四将は」
彼等の存在もだ。あまりにも大きいのだった。
「まさに鬼神です」
「おまけに真田家から一人とてつもない若武者が入ったとか」
「名前は確か」
その若武者とは誰かというとだった。
「真田幸村」
「あの男でしたな」
「智勇兼備の若武者だそうだな」
義龍も彼については聞いていた。それで言うのだった。
「そしてその若武者の下には」
「十人の忍がいるとか」
「真田十勇士」
「あの者達もかなりの豪傑揃いとか」
「武田には人が集まっております」
「だからこそ美濃一国の力では相手にはできぬ」
これも見抜いているのが義龍だった。やはり彼
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