第二十四話 国友その六
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「これからも贔屓にさせてもらう故にな」
「鉄砲をまだ頼まれると」
「言ったであろう。多ければ多いだけよいのだ」
だからだというのだ。
「そういうことよ」
「では。まずはこの五百を」
「でき次第尾張に届けてくれ」
信長はこのことも告げた。
「よいな」
「はっ、それでは」
「話はこれで終わりだな」
信長は話がまとまったと見てこう話した。
「さすればだ」
「では殿」
「ここは」
「折角じゃ。茶を飲むとしよう」
今村井と武井に返した言葉はこれであった。
「そうするとしようぞ」
「話もまとまり」
「ここで、ですな」
「そうよ。一服じゃ」
こう言うのであった。
「よいな」
「はっ、それでは」
「我等も共に」
「茶を飲む時は飲むものよ」
信長は笑みと共に話した。
「だからよ。楽しむとしよう」
「織田様は茶を好まれると聞きましたが」
長はだ。その信長を見ながら話す。今度は年齢を感じさせる深いものをたたえた顔になっていた。
「思った以上ですな」
「そう思うか」
「さすればです」
そしてだ。そのものを出してきた。
「堺に行かれたその時はです」
「堺か」
「一人。会われるべき方がおられます」
「千利休じゃな」
「御存知でしたか」
「話は聞いておる」
信長は微笑んで長に話した。
「堺で一の茶の者だそうじゃな」
「堺だけに止まりませぬ」
長の話はさらに上をいっていた。
「おそらくはこの天下で」
「一と申すか」
「はい、その通りでございます」
こう信長に話すのであった。
「あの方の茶は」
「ふむ。そこまでというのなら」
長の話を聞いてだ。信長は考える顔になった。そのうえでだ。
彼はその顔でだ。長に対して言ったのであった。
「堺に行ったその時にはだ」
「会われますか」
「是非共な。そうするとしよう」
「それがよいかと」
「優れた者とは誰であろうが会う」
信長は断言した。これ以上はないまでにはっきりとした口調でだ。
「それがわしじゃからな」
「そして利休殿ともですな」
「そういうことじゃ。さて」
長の淹れたその茶を飲んでだ。彼は言った。
「よい茶じゃな」
「有り難きお言葉」
「ではまた飲ませてもらおう」
こう言うのであった。
「堺でのう」
「こちらでは如何でしょうか」
長はすかさず言ってきた。
「この国友では」
「また次の機会にじゃな」
「次でございますか」
「また会おう」
笑顔で彼に告げる。
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