第二十四話 国友その五
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「鉄砲はな」
「そしてその鉄砲で、ですか」
「そうじゃ。これは多くは言わぬぞ」
「ではそれがしもそれについては聞きませぬ」
言わずとも聞かずともわかることだった。そういうものだった。
「しかし。さすれば」
「わかったな。ではじゃ」
「わかり申した。では」
長は話を受けることにした。そうして話を次の段階に移すことにした。その話は。
「金はあると言われましたな」
「既に用意してある」
「五百ともなるとです」
長は袖の中で腕を組んでいる。そうしながらの言葉だった。
「かなりの値段になりますが」
「はい、それですが」
「既に我が家ではです」
ここでだ。村井と武井が出て来た。そうして長に話すのだった。
「これだけの額があります」
「如何でしょうか」
「むっ、その額は」
その額は既に紙に書かれていた。そのうえで長に見せられる。二人は信長と長が話をしている間にだ。書いていたのであった。
その額を見てだ。長は言うのだった。
「あまりに少ないのでは」
「そう思うか」
「五百ですから」
長はここでも鉄砲の数を話に出した。
「それでその額とは」
「五百だからこそだ」
しかしであった。信長はこう彼に返す。
「だからこそこれだけなのだ」
「だからとは」
「五百。多く作るな」
「はい」
それは言うまでもないことだった。長も頷いてみせる。
「左様でございます」
「だからこそじゃ」
「多く作ればそれだけ金がかかりますが」
「しかしまとめて作ればそれだけ手間が省けよう」
だが。信長はここでこう返した。
「違うか」
「それは」
「それも考えてのこと」
「この額は」
また村井と武井が話してきた。
「これで妥当と思うが」
「何なら計ってみることだ」
「ふむ」
長も三人からそう言われてはだ。考えざるを得なかった。まずは腕を組んで瞑目する。どうやらそのうえで頭の中で計っているらしい。
そして暫くしてからだ。こう答えたのであった。
「確かに」
「その額でよいな」
「十分だな」
「十分どころではありませぬ」
長は目を開いていた。そのうえでの言葉だった。
「仕入れる火薬や鉄、それに職人達への支払いの金、手間隙やそうしたことまで細かく考えてです」
「その額でだな」
「よいと」
「それでもまたおつりが来ます」
実際に計ってみるとだ。そうだったのだ。長はこう三人に話すのだった。
「それがしもこれで生きております」
「鉄砲を作りそれを売り」
「そのうえでだな」
「左様でござる。ならば計るのもまた身に着けております」
そうしなければ駄目だということであった。だからこそのこの村の長なのである。
「それで計ってみたところ」
「わしの言う通りであったであろう
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