第二十三話 上洛その八
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「面白いものになるだろうな」
「殿、刺客とやり合うだけではないのですな」
「それで済ませては面白くとも何ともない」
丹羽に対しての言葉だった。
「それだけではじゃ」
「だからでございますか」
「そういうことじゃ」
笑って丹羽に話すのだった。
「ここも派手にいくぞ」
「派手にいってばかりではないですが」
こんなことを言う丹羽だった。
「殿は」
「御主も言うのう」
「言わずにはいられません故」
丹羽も笑顔で話す。
「殿は」
「やれやれじゃな」
「しかし。刺客が来るとわかっていれば」
「やりやすいな」
「はい、全くです」
ここでは二人の意見は一致していた。
「実に」
「そういうことじゃ。わかっておればやることはじゃ」
「楽しまれますか」
「美濃の義龍めにも見せておく」
刺客を送ってくるのは彼だと。既にわかっているのであった。
「わしのやり方をな
「そして殿のお力も」
「見せられるものは何でも見せる」
そしてであった。同時にこうも言うのだった。
「見せぬものは絶対に見せぬがな」
「ではここは」
「見せる。そういうことじゃ」
「左様ですな。それでなのですが」
丹羽は主にさらに言ってきた。
「伊勢に行かれますな」
「美濃に入ることはできぬからのう」
その義龍の国にはである。流石にそれは無理だった。
従ってここではだった。伊勢から入るしかないのであった。
「これはこれでよい」
「ですな。確かに」
「それは」
丹羽以外の者達もここで笑いながら応える。
「伊勢での調略の成果も見られます」
「よもや今からしているとは思いますまいて」
「ならばです」
「ここはあえて」
「入るついでに色々と楔も打ち込んでおくとしよう」
入り見るだけではなかった。さらになのだった。
「伊勢全体にな」
「では。その様に」
「我等で」
「美濃の前に伊勢じゃな」
素っ気無くだがはっきりと述べた信長だった。
「まずはそこじゃ」
「伊勢ですか」
「そこでござるか」
「二郎」
九鬼もいる。彼に顔を向けての言葉だった。
「そなたは海からじゃ」
「わかっております」
当然といったように返す九鬼であった。
「既にはじめております」
「よいぞ。では伊勢に向かうとしよう」
こうしてだった。信長は伊勢から都に向かうのだった。そして伊勢に入るとだ。
伊勢の町や村を見回していく。そうしたものを見て信長はまた話すのだった。
「栄えておるがな」
「それでもですか」
「何かありますか」
「まとまってはおらぬ」
こう言うのだった。
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