第二十三話 上洛その二
[8]前話 [2]次話
「成功するか」
「そして信長殿は討たれるか」
「どうなるか」
「結論から言えば失敗します」
これが竹中の返答だった。
「間違いなくです」
「そうか、失敗するか」
今度は不破が言うのだった。
「その刺客はか」
「信長殿は鋭い方です」
竹中が最初に指摘するのはこのことだった。その鋭さがわかっているからこそだ。最初にこのことを挙げて話をするのであった。
「ですから。すぐに気付かれます」
「気付かれればそれでしまいだな」
「防がれてしまう」
「そうなるか」
「そうです。それにです」
何故失敗するか。その要因はまだあるのであった。
「信長殿の周りの家臣達もです」
「粒揃いだな」
「よくもあそこまでの者達がいるものだ」
「あれだけで」
三人衆はだ。彼等だけでどうなのかも話すのだった。
「武田や上杉の家臣達を凌ぐぞ」
「無論北条もな」
「その三家をして上にある」
そこまでだというのである。それが織田家の家臣達だというのだ。
「その者達が周りにいる限りはか」
「刺客達の手に負えるものではない」
「そういうことだな」
「一体どれだけおるのか」
不破もそれを言う。
「わからぬまでだ」
「だからです。その家臣達も常に警戒していますし」
その信長の周りでだというのだ。
「彼等も気付き防ぎますし」
「ではやはりじゃな」
安藤が言った。
「ここは失敗するか」
「成功すればそれまでか」
氏家はいささか突き放して述べた。
「それで終わりよ」
「我等が仕えるに足る方ではない」
稲葉も二人に続く。
「そういうことじゃな」
「はい、それもまたその通りです」
また三人に話す竹中だった。
「ですから。ここはです」
「我等は見てだな」
「そうしてそのうえで信長殿が我等に相応しい主か」
「それを見させてもらうか」
「是非な」
「では」
四人の言葉を受けてだ。また言う竹中であった。
「そういうことで」
「うむ、それではな」
「見させてもらおう、信長殿を」
「ここでもな」
「あの方は都に行かれるだけではありません」
竹中は既にそのことも見ていた。彼の目はそこまで見ていた。
「都に上られると共にです」
「他のものも見られるか」
「そうされるか」
「はい、堺に奈良に」
そうした場所をだというのだ。
「それに国友です」
「国友!?」
「そこもか」
「あの場所もか」
「信長殿は鉄砲をよく使われます」
それが信長の戦い方の一つだった。その鉄砲と長槍の二つを併せて使ってである。そのうえで瞬く間に尾張を一つにしたのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ