第二十一話 一喝その十二
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というのだ。彼の考えは深かった。
そんな話をしながらだ。信長はその避けの話をするのだった。
「酒はのう。どうもな」
「兄上は昔からそれだけは駄目でございますな」
「うむ、飲めん」
実際にそうだとだ。弟に話す。どうにも腑に落ちない顔でだ。
「如何にも飲みそうだと言われてきておるがだ」
「それでもでございますな」
「それより甘いものがよい」
信長はこちらの方がというのである。
「柿なり蜜柑なりじゃ」
「無論そういうものもですね」
「うむ、今よりもずっと多く植えるぞ」
やはりそうしたものもなのだった。
「よいな、それは」
「とにかく誰もが様々なものを飲み食いできる世の中ですか」
「つまりは」
「そういうことじゃ。わし一人が美味いものを飲み食いして何が楽しい」
少なくとも信長はそうした人間ではない。そうした欲はないのだ。
「誰もが飲み食いしてこそではないか」
「では。その世の中を実際のものとする為に」
信行がまた兄に応える。
「あの男を」
「そうよ、放っておけん」
またその話に戻ったのだった。
「よいな、それではじゃ」
「はい、それでは」
「何としても次で」
「討ちましょう」
「そうするぞ。いいな」
こう話してであった。彼等は今は茶を飲むのであった。
信長は政や戦だけではなかった。謀もまた行うのだった。そしてその謀によってだ。今その敵をだ。討たんとするのだった。それが次であった。
第二十一話 完
2010・12・31
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