第二十一話 一喝その五
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ここで柴田達が出て来てだ。そのうえで叫ぶのであった。
「ええい、落ち着け!」
「槍を収めよ!」
「弓から手を離せ!」
柴田と林強大はそれぞれ馬に乗って信行の軍に対して叫ぶ。
「殿に弓を引くことは許されん!」
「今すぐに城を攻めるのを止めよ!」
「ここはだ!」
「おお、権六様か」
「新五郎様達もおられるぞ」
足軽達は彼等の姿を見てだった。すぐに落ち着きを取り戻したのだった。
「あの方々が仰るのなら」
「ここはな」
「そうするか」
彼等は次第に静まろうとしていた。そしてだ。
その彼等の左手にだ。今大軍が来たのだ。
「おお、来られたな」
「やはり速いな」
「お流石と言うべきよの」
柴田と林兄弟はその軍が誰の軍なのかすぐに察した。そうしてそのうえで会心の笑みを浮かべてそれぞれ言うのであった。その笑みと共に。
「勘十郎!」
その軍の先頭に馬に乗る信長がいた。彼はいきなり大音声で弟の名を呼んだ。
「おるか!」
「そ、そのお言葉は」
我に返っていた信行は。唖然とした顔になってその左手を見た。
「兄上が。こちらに」
「おるなら返事せい!」
こうだ。弟に対して言うのである。
「おるのかおらぬのか!」
「は、はい」
いつもは冷静な信行もだ。術から醒めそのうえ急な兄の言葉にいささか狼狽していた。そのうえで兄のその言葉に応えるのであった。
「こちらに」
すぐに軍を出る。兄の前に出た。
しかしその弟にだ。信長はまた言うのであった。
「将の前にそれで出る奴があるか」
「あっ、確かに」
言われてだ。そのことに気付く信行だった。ここでも気付いたのである。
「それでは」
「馬に乗って来い」
信長は優しい笑顔になって弟に告げるのだった。
「まずはそれからよ」
「畏まりました。それでは」
こうして一旦陣に戻り己の馬に乗ってからであった。信行はまた兄の前に現れたのであった。
そのうえで下馬して一礼してからだ。兄に対するのであった。信長はここでも己から言うのであった。
「してだ」
「この度のことでございますか」
「話を聞こう」
また弟に告げた。
「よいな」
「わかりました。それでは」
「何故謀叛を起こした」
問う内容は実に単刀直入なものだった。
「それは何故だ」
「それは」
「言えぬか」
「言うことはできます」
戸惑いは一瞬だった。すぐにこう兄に返してみせた。
「ですが。どうもその時のことは」
「そなたもわからぬのだな」12
「そんな筈がないのですが」
「しかしわからぬな」
「・・・・・・はい」
兄に対してだ。項垂れた顔で答えた。
「その通りです」
「普通に聞けば嘘と疑う」
信長はその弟に対してまずはこう述べた。
「しか
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