第十九話 夫婦その一
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る九千の兵をですか」
「左様、よいな」
こう家臣達に話すのである。
「そうするぞ」
「そうして清洲を空にしたうえでなのですね」
「勘十郎様にあえて兵を挙げさせる」
「そうされると」
「左様、わかったな」
これが信長の考えだった。策であった。
「そうしてじゃ。この話は早いうちに終わらせる」
「迅速に終わらせる」
「そうされると」
「さもなければ今川や斉藤に付け込まれる」
だからだというのだ。中でのいざかいがどれだけ外にとって都合がいいのか、信長はこのことを熟知していた、だからこそだった。
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