第十八話 道三の最期その七
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「義父殿に言われてか」
「はい、それでなのですが」
信長に応えてだ。可児はあるものを出してきた。それは。
「札じゃな」
「その通りです」
「勘合札ではないか」
これは信長も知っていた。
「貿易でもするつもりか」
「そう思われていますか」
「ははは、冗談よ」
それはすぐに否定する信長だった。口を大きく開けてそのうえで笑ってみせたのだった。
「それはな」
「左様ですな。しかしこの札は」
「どれも一方しかない。ということはじゃ」
信長はそれを見ただけで察した。そうして話すのだった。
「あれじゃな」
「その時が来ればとのことです」
「わかった。ではその札はわしが預かろう」
信長は真剣な顔になって可児に対して述べた。
「それではな」
「はい、それでは」
「うむ」
可児はその五枚の札をまずは周りにいる森長可に手渡した。その彼の手から信長に手渡されてだ。そのうえで信長の手に渡ったのだった。
その五枚の札を懐に収めてから。信長はまた話した。
「してじゃ。可児才蔵よ」
「次は何でしょうか」
「御主はどうするのじゃ」
こう彼に問うたのである。
「これからどうするのじゃ」
「実はです」
可児は態度をあらためて信長に話したのだった。
「大殿に言われました」
「ふむ、何とじゃ」
「若し信長殿がそれがしが仕えるに相応しい方ならば」
「仕えよと言われたのじゃな」
「左様です」
「そうか。可児吉長じゃったな」
ここでだった。信長はこの名前を出したのだった。
「そうじゃな」
「それがしの名、御存知だったのですか」
「才蔵だけでないことはわかるわ」
信長は驚く可児に対して微笑んで述べた。
「そして美濃の名のある者ならばよ」
「どうだというのですか」
「あらかた知っておるわ。その程度のことは調べておる」
「そうだったのですか」
「それで知っておるのじゃ」
こう彼に話すのだった。
「そういうことじゃ」
「左様でしたか」
「それでじゃ。才蔵よ」
そしてだった。彼をそちらの名前で呼んだのであった。
「よいな。これからじゃ」
「はい、これからは」
「どうするのじゃ、一体」
彼にまたこのことを問う。するとだった。
可児は態度をあらためてだ。信長に対して話した。
「では。これからは」
「うむ」
「今のことでわかりました。信長様のことが」
「ではじゃな」
「はい、御願いします」
頭を下げてだった。信長に話したのだった。
「これから。それがしを」
「わかった。では才蔵よ」
「はっ」
彼を召し抱えると決めたうえでだった。また可児に告げた。
「まずは鷺山に向かうぞ」
「ですが殿」
「間に合わせる」
返答は強いものだった。そしてそのうえで言
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