第十五話 異装その九
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「我が婿に感じておるようじゃな」
「少なくともこれだけの政と瞬く間の尾張統一はです」
「尋常なものではありません」
それを既に見ての言葉であった。
「ですから。余計にです」
「見させてもらいます」
「織田信長、尾張の蛟龍ですが」
竹中も言う。
「その器量、見極められるでしょうか」
「そなたも言うか」
「はい」
主に対しても答えた彼だった。
「どこまで大きいのかわからなくなるかも知れません」
「わかろうと思えばだ」
「その時は」
「そなたは思うように動け」
これが道三の彼への言葉だった。
「よいな」
「思うようにとは」
「またわかる」
ここでもだった。多くは言わない彼だった。
「その時にな」
「左様ですか」
「さて、入るぞ」
「はい」
彼等はその小屋の中に入った。そのうえで信長達を待った。やがてだ。
五百人程の青い鎧の者達が来た。
足軽達だった。鎧だけでなく陣笠も槍の柄も旗も何もかもが青である。家門や永楽通貨のところは白になっていてそれが目立つようになっている。
その青を見てだ。まずは細川が言った。
「噂には聞いていたが」
「そうですな」
明智が彼の言葉に応える。
「本当に青いとは」
「しかもその青がです」
「ええ。実に奇麗です」
その青にだ。明智は自然と引き込まれるものを感じていたのだった。そのうえでの言葉だった。
そしてだ。彼はこう言うのであった。
「この青はです」
「この青は?」
「まさに五行の青です」
それだというのである。
「まさにそれです」
「そう仰いますか」
「はい、織田殿は青ですね」
明智は確かな声で言った。
「その青、見事です」
「それにです」
竹中がその明智に言ってきた。
「明智殿もお気付きですね」
「無論」
すぐにこうその竹中に答えたのだった。
「鎧もいい」
「はい、そして槍もです」
「長いな」
「三間半はあります」
そこまでの長さだったのである。その槍はだ。
「あれだけ長い槍はです」
「ううむ、見たことがない」
明智の言葉はここでは唸るものだった。
「流石にな」
「明智殿もあそこまでの長さはですか」
「ない」
こう答えたのだった。
「美濃の槍も長いがな」
「思い切ったことをするものだ」
「全くだ」
「あそこまで長くするか」
三人衆もその槍を見てそれぞれ言うのだった。
「しかし。あれだけ長いとな」
「中々近付けぬ」
「それに先に打たれてしまうわ」
その長い槍がどういった効果を持つのかもわかったのである。信長の卓見にだ。彼等もまた気付いたのであった。彼等もそれだけのものを持っているのだ。
そして不破はだ。あるものを見て言った。
「槍だけではないぞ」
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