第84話 桃色の人と再会
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いないようです。
「アハハ! 正宗さん、全然気にしないでください。」
桃香は北郷の行動に少し焦った表情をしましたが、私に笑顔を返してきました。
「桃香がそう言うなら、そういうことにしておこう」
「正宗様、お待ちください!」
私が話を先に進めようとすると、私の直ぐ横に控えていた揚羽が声を上げ私を制してきました。
「揚羽、どうしたんだ」
揚羽は北郷を見やり厳しい視線を送っていました。
「あの・・・・・・。あなたはどなたです?」
桃香は揚羽の剣幕に動揺しながらも揚羽に尋ねていました。
「私は正宗様の妻で、司馬懿と申します。劉玄徳、その男はさきほど正宗様に『あのさ』と、場を弁えぬ無礼な言葉で声を掛けましたね。それに、その男の服は一見してこの大陸では見たことの無い生地です。もしや、先頃、この大陸に蔓延している占い師管輅の占いに出てくる天の御使いではあるまいな? もし、事実ならこの場でお前達を極刑にせねばならない」
揚羽は何時にも増して、凍り付くような厳しい視線を桃香達に向けました。
「あの・・・・・・なんのことでしょう? 私にはよくわかりません。でも、なんで天の御使いだったら私達は極刑なんですか? 私は頭悪いから教えてくれませんか?」
桃香は揚羽の言葉にビクリと一瞬体を震わせましたが、彼女は動揺を必死に隠そうとしながら、私の方をチラチラと見て揚羽に返答していました。
「正宗様は朝廷の重臣だからです。天の御使いを名乗るということは、己が皇帝であると宣言しているに等しいです。そのような者とそれに加担する者達は天下に弓引く大罪人です。生かす道理はありません」
揚羽はきっぱりと言いきりました。
「桃香様、そのような不届き者は誅殺せねばなりませぬな」
「えっ! そうだね。そんな悪い人は成敗しなくちゃ」
関羽は揚羽の話で脳内停止している桃香を無理矢理覚醒させてましたが、桃香は落ち着き無く話を合わせようとしていました。
桃香の反応を見た揚羽は私に視線を合わせ、一度瞬きをしました。
揚羽は北郷のことに気づき、用心のために桃香から「私達は天の御使いとは関係ない」という言葉を確認したかったのでしょう。
揚羽は私に気を使ったのかもしれませんが、ここで北郷を始末した方がいいでしょう。
この一件を朝廷の宦官共の耳に入ると言いがかりをつけられる恐れがあります。
「桃香、嘘は良くないな・・・・・・」
私は底冷えする声で桃香に言いました。
「ま、正宗さん、急に恐い顔をしてどうしたんです」
桃香は私の表情の変化に気づき、少し体を震わせています。
「お前の反応を先ほどから見ていたが明らかに不自然だ。何をそんなに怯えている。その男が天の御使いなの
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