若葉時代・火影編<後編>
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無い様だな」
――うちはのためで、木の葉のためではないのか。
こいつがもっとうちはだけでなく、木の葉全体を守ろうとする意思があれば、喜んで火影の座をこいつに渡したのに。
軽く頭を振って、掴んでいる腕を引離す。
向こうもそれ以上に引き止める気はなかったらしく、簡単にその腕は外れた。
「火影様! それにマダラ様!!」
「……これから土影殿との会談に向かう。悪いが、このまま付いて来てくれるか?」
「は? ――はっ!!」
追いついて来た木の葉の忍び達が差し出した火影の衣装を手に掴む。
それまで羽織っていた羽織を脱ぎ捨て、火影の衣装を纏って、『火』と書かれた笠を被った。
マダラへと背を向けて、そのまま歩き出す。
――私達の視線が交わる事は無かった。
*****
「やはりな。温厚派で知られるあんたにしては変な真似をすると思ったが、予想通りうちはマダラの独断か」
「……あなた方には、本当に申し訳ない事をした」
土影との会談を終え、向かった先の宿舎。
包帯でぐるぐる巻きの格好であった無殿は、今度は怪我のせいで包帯をあちこちに巻いていた。
その体に手を伸ばして、治療を開始する。
「オレは噂に名高いうちはの頭領とやり合えたからお互い様だが、うちの小僧がな」
「……オオノキ君にも、済まない事をしてしまったな」
手を翳せば、見る見る内に怪我が治っていく。
あの時、会談場所には無殿の他にオオノキ君もいた。
マダラの事だ、相手が子供だからといって容赦を見せる様な真似はしなかっただろう。
「――あんたはオオノキには会わない方がいいだろうな。あいつは……どうやら捩じ曲げられちまったらしい」
「……そうか」
純真な眼差しで私を見上げていた少年の姿を思い起こして、頭を振る。
マダラが撒いた種はそんな所でも芽をつけていた――つくづく、自分の至らなさが身に滲みる。
「気を付けろ、火影。お前がなんと思っているのかは知らんが、あの野郎があんたに対して抱いている感情は生半可な物じゃない。下手すりゃ本人をも焼き尽くしかねない代物だ」
「憎まれているのは、知ってるよ。何とかして、それを解消したいと願ってはいるのだけれども」
そっと息を吐いて、立ち上がる。
治療も終わったし、四尾を封印した巻物も無事に渡し終えた。これ以上土の国にいたところで、人々の感情を逆撫でするだけだろう。
「憎しみか……。そんな単純な物で済まされる様な物とは思えなかったがな」
「やけに分かった様な口を利くんだな、無殿」
「ククク……。気を損ねさせた様だな、悪かった」
ちっとも悪いと思っていなさそうだね、おい。
「――――今度会う時は戦場かもしれないな」
「そうはし
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