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木の葉芽吹きて大樹為す
若葉時代・火影編<後編>
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ばれた」
「彼らの心に根強い反感と憎しみを残して、な」

 かつて無い程低い声が私の喉より零れる。
 そうなるのが嫌だったから、時間をかけて同盟を結ぼうとしていたのに……! ぎりぎりと歯を食いしばって、マダラの目を睨む。
 マダラなりに木の葉の事を考えて行った行為だとは分かっている。だからこそやるせない。

「同盟など必要ない。ただ木の葉の圧倒的な力の前に従わせればいい――そう言った筈だ」
「その手段だけは取るつもりは無い――そうとも言ったぞ」

 噛み締めた歯の隙間から絞り出す様にして、声を出す。ただそれだけの行為が酷く億劫だった。
 大きく息を吸って、吐き出す。そうしてからマダラの襟元を掴んだ指を外した。
 起こってしまった出来事は時を巻き戻す手段が無い限り不可能だ。何とかして岩との間に入った亀裂を埋めなければ。

「――……四尾を岩へ渡す。それしかない」
「柱間、貴様!」

 目を剥いたマダラを無視して、淡々と言葉を綴る。

 次期土影候補ともあろう者がマダラに叩きのめされた事実は、彼らの誇りと自尊心を著しく傷つけ、木の葉への反感を生み出しただろう。それを取り戻すために、彼らは力を求め始める。
 だったら、木の葉の方から彼らの求める物を彼らの前へと投げ出してしまえばいい。

「貴様、貴様はどこまで……!」

 今度は私の襟首が掴まれ、そのまま背後の壁へと叩き付けられる。
 強い力が背中を圧迫し、咳き込んだ。

「何故貴様はそれだけの力を持ちながら、それを使おうとしない! 貴様程の力があれば、何もかもが思い通りにいくというのに!」
「力があるこそだ! 人々は乱世に疲れ切っていた! ならばこそ、我らがすべき事は力からなる抑圧や支配ではなく、言葉に寄る融和や和解を目指すべきだろう!!」

 お互いに睨み合って、至近距離で意見を言い合う。
 私もマダラも譲る気がない事は瞳に宿る意思から理解出来る。襟首にかかる力がますます強まる。
 息が苦しくなるが、それでも視線を逸らす気はなかった。

「人と人が分かり合える時代など来ない! 人が死んだ所で後に遺る物など何も無い、イズナが死んで遺された物がオレの瞳力だけの様にな!」
「そんな事は無い! 死者を悼み、故人に対する感情や思いがなくなる訳ではないだろうが! お前とてそれは同じだ!」
「ああ、そうだろうな。そうして、それらの感情は容易く憎しみに変わる。だからこそ、遺るものがあるとすれば、それは――」

 ――――憎しみだけだ。

 荒々しい語調が一変して鬱蒼と呟かれた言葉に、戦慄が走った。
 炎を映し込んだ様な写輪眼なのに、覗き込んだ先の双眸は酷く冷たい。

「うちはのためと思い、同盟にも参加した。だが、所詮オレと貴様の道は交わる事は
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