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木の葉芽吹きて大樹為す
若葉時代・火影編<中編>
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しい獣じゃないか、彼らは」

 流石に大きな声で言うつもりは無い。
 だからマダラにだけ聞こえる様に潜めた声で応対すれば、眉間の皺がますます深まる。

「千手の頭領である貴様ならば知っている筈。あれらは所詮分散した力に過ぎない。六道仙人の生み出した知の足らぬ不安定な力。導きを与える者を必要とする、未完成な存在だ」
「一概にそうだと決めつけるのはお前の悪い癖だな。尾獣にだって感情があれば意思もある、オレはそれを知っている」

 ミトの手にした巻物の中に四尾の体が見る見る内に吸い込まれていく。
 今回は七尾の時とは違って充分に用意をしておいたから、あの封印は十年程は持つだろう。

「貴様、四尾をどうするつもりだ? 木の葉で所有するのか?」
「いや……。特にそんなつもりはない。どっか人里離れた所で解放するつもりだけど」

 大きすぎる力は人々を容易く弄ぶ。
 そのせいで、尾獣達は昔から力を求める人間達の垂涎の的だったせいで苦労していた――と五尾が以前言っていた。
 木の葉は以前封印した七尾を合わせて、既に充分な力を持っている。
 ならばこそ、これ以上の力を蓄えれば逆に各国の恐れの対象にしかならない。

 その思考は突如として響き渡った破壊音によって妨害された。

「――丁度いい。貴様とは前々から話したい事があった」
「……マダラ、お前……」

 先程の破壊音は、マダラの拳が岩に皹を入れた音だった。
 無事に四尾を封印し終えたミトも、一緒に来ていた木の葉の忍び達も突如として響いた音に驚いた様にこちらを振り返っている。
 それを横目で確認して、私はマダラを見据える。

「いいだろう。何を話したいんだ?」
「――――七尾に続き、四尾まで手に入れておきながら……貴様はそれらを活用する事無く、ただ奴らを遊ばせておくのか?」
「彼らを利用する気はない。戦国の世が終わりを告げたとはいえ、木の葉一つが突出すれば他の隠れ里の恐怖の対象にしかならないからな。国内の忍び一族を纏め上げた各隠れ里が木の葉を仮想敵国として扱う様になれば、少しの躓きで元の乱世に逆戻りだ」

 それだけは何としてでも避けたい。
 岩隠れの里に恩を売る形で四尾を封印こそしたが、彼らを長い間手中に収めておくつもりは無いのだ。
 あくまで、岩と木の葉の同盟のための足がかりというか、切欠に過ぎないのだから。

「ならば、木の葉が全てを支配すればいい。これだけの力があるならば――同盟などを結ぶ必要は無い! 力づくにでも従わせればいいではないか!!」
「言い過ぎだぞ、マダラ! 力で人を押え付けては反発しか生まない!! そうして押え付けられた人々の間には、恐怖とそれを為す者への反発……そして憎悪が植え付けられるだけだ!」

 マダラの言う事はおそら
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