若葉時代・火影編<前編>
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きたいし。
―――ーこれは好機だ。
「ねぇ、桃華。それってさ、火の国と土の国の境の話だよね?」
「柱間様?」
不思議そうに首を捻っている彼女の前で徐に立ち上がれば、桃華の背筋がぴんと伸びる。
採決済みの書類を手渡して、机の上に置いていた笠を被って外出スタイルになれば、桃華の眉が吊り上った。
「柱間様! お仕事はまだ……!」
「いいのいいの、自主休憩。桃華も休んでおいでよ」
桃華が私の事を引き留めようとするが、彼女が手にしている書類が邪魔で素早く動けない。
その隙間を練って悠々と出ていけば、背後の執務室から桃華の怒りの声が上がった。
*****
慎重な手つきで差し出されたお盆。
その上に乗せられた二枚の乾菓子に手を伸ばして、そっと口元にまで運ぶ。
醤油の香ばしい香りに、菓子の上の粗い砂糖の粒が食欲をそそる。
相好を崩したままそれを口に入れようとすれば、背後に殺気を感じて振り向いた。
「――や、マダラ。来るの早かったね」
「貴様、何故うちはの居住区にいる!?」
憤然と怒鳴りながら、大股に近寄ってくるマダラ。
ほとんど臨戦態勢なのか、黒い両目は既に写輪眼化している。
肩で風を切りながらやってきたマダラは私の方を睨んでおり、周囲のうちはの人達と言えばハラハラとした表情で成り行きを見守っている。
「いや。ちょっと話があってさ」
「話だと?」
座っていた横椅子を詰めて、隙間を作れば鼻を鳴らされるだけだ。
じゃあ座んないのか、と思えばだいぶ離れて腰を下ろされる。結局何がしたかったんだ、こいつ。
「そう。土の国にちょっと出かけるから、一緒にいかない? かなり難しそうな任務もセットで付いているけど」
「任務、だと……? 貴様が難しいと言う程の?」
「うん。――ひょっとしたらだけど四尾と戦う事になると思う」
さらりと言ってみたのだが、やっぱりそう簡単に流せる様な対象は無いらしい……尾獣は。
マダラが軽く目を見張り、うちはの人達の何人かが顔を青ざめさせる。
まあ、普通はそうなるよね。ましてや、彼らの中の何人かは以前に七尾と顔を合わせた事があるだろうし。
「四尾とやり合って、尚かつ生還出来る確率が高い忍びはオレを除けばお前と扉間くらいだし。――どうする?」
「オレが行かなければどうなる?」
「やっぱ、オレとミトと扉間のスリーマンセルだな。どのみちお前が留守番なのは間違いない」
「――――いいだろう、四尾であれば相手に不足はない」
「そう来なくちゃ」
そのまま黙って干菓子を齧っていれば、マダラの視線を感じて、顔を横に向ける。
赤い目をじっと見つめていれば、苛立った様に眉根が潜められる。毎度の事だけど眉間の間の皺……凄
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