暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第十三話 家臣達その七
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「拙者にとってかけがえのない者達だ」
「そう言って頂けますか」
「我等を」
「御館様は天下を目指されている」
 信玄のことも話した。
「そして拙者にだ」
「何と仰ったのですか」
「信玄様は」
「天下一の男になれと言われた」
 このことも話した。
「拙者にな」
「何と。幸村様にですか」
「それ程のことですか」
「言って下さった。拙者はそうなれるかどうかはわからぬ」
 こうは言った。しかしすぐにこうも言うのだった。
「だが、だ」
「だが」
「どう思われてますか」
「拙者はまず御館様、そして真田の為に全てを捧げる」
 そうするというのである。
「そうするつもりだ」
「そのうえで天下をですか」
「信玄様にですね」
「そうする、よいな」
 また言う彼だった。そうしてであった。
「拙者はその為に生きるつもりだ」
「では我等はです」
「その幸村様に」
「全てを捧げましょう」
 こう言って彼の前に片膝をついてだ。幸村に告げた。
「真田十勇士」
「生きるも死ぬも幸村様と共にです」
「例え何があろうとも」
「その言葉確かに受け取った」
 幸村もだった。彼等の心を受け取った。そのうえでだった。
「では天下に参るとしよう」
「はい、それでは」
「今より」
 こうしてだった。彼等は幸村の下に集うのであった。その中でだった。ふと霧隠がこう言うのであった。
「やはりです」
「どうした才蔵」
「何かあったのか」
「うむ、拙者は以前朝倉宗滴様にお仕えしていた」
 こう同志達に言うのだった。
「その時。幸村様にお仕えするように言われたのだ」
「そうらしいな」
「それでここに来た」
「そうだったな」
「そうだ。そしてその言葉はだ」
「間違いではなかった」
「そうだな」
 彼等の言葉にだ。こう答えたのだった。
「拙者、幸村様に」
「うむ」
 その幸村が微笑みで応えた。
「この命を捧げましょう」
「さすれば拙者もだ」
 幸村も彼に応えて言う。
「その命引き受けた」
「有り難き御言葉」
「そのうえでだ。御主達と共に生き共に死ぬ」
 これが幸村の言葉であった。10
「それでよいな」
「では我等ここにです」
「一つの絆を作りたいのですが」
「宜しいでしょうか」
 十勇士達がだ。幸村に言ってきた。
「我等十勇士生まれた場所も時も違います」
「しかし幸村様に絶対の忠誠を誓った今」
「我等は同じ」
「全ては同じなのです」
「さすれば」
 こうそれぞれ言ってそうしてであった。
「今ここで義兄弟となり」
「そうしてそのうえで」
「幸村様と死ぬ場所を同じと誓います」
「それで宜しいでしょうか」
「御主達の心は必ず受ける」
 幸村はここでも微笑んで応えた。

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ