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戦国異伝
第十二話 三国の盟約その十
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「そうではないのか」
「はい、左様です」
 平手はその明智のことも信長に伝えた。
「美濃から越前の朝倉に仕えそこから将軍家に仕えているようです」
「そうした者か。朝倉にもいたのか」
「ですが義景殿と折り合いが悪かったらしくて」
「ははは、そうであろう」
 信長は朝倉義景の名前が出るとすぐに笑ったのだった。
「あの者ではな」
「ですから」
 織田家と朝倉家は元々斯波家の被官同士である。だが家柄は朝倉の方が上でありその為朝倉は織田を下に見ていた。織田は織田でその朝倉を嫌っていた。これは家臣の間にも及び両家はまさに犬猿の仲であるのだ。当然信長も平手もそれは同じである。
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