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木の葉芽吹きて大樹為す
若葉時代・木の葉編<前編>
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にマシな案が出て来ただけ奇跡だろ」

 なんか、猿飛殿の言葉には含みがある様な……。なんで?
 疑問を顔一杯に浮かべて、猿飛殿を見れば、溜め息を吐かれた。

「お前な……。自分のセンスにもう少し疑いを抱いた方がいいぞ。この間の盆栽をよーく思い出せ……!」

 猿飛殿の言葉にうんうん、と頷き合う頭領達。
 失敬な! あれはここ一番の最高傑作だったのに! 水中に潜む鮫の執念深さを表現した最高の一品だったじゃないの!

「だよねぇ……。あんな感じの名前が飛び出てくる前に『木の葉』に決めといた方がいいと思うよ」
「だよな。流石にこの間の盆栽みたいな物が出されちゃかなわねぇ。オレも『木の葉』で賛成だ」

 皆さんの笑い混じりの言葉に、私としては心が砕かれそうです。
 そんなにセンスが無いのかなぁ……。なんか落ち込んで来た。

「先程から何を言っておるのじゃ?」
「そっか。日向の長老殿とマダラ殿はまだ見た事が無いんだよな。柱間殿の盆栽」
「まず間違いなく、今までの価値観がぶっ壊される事は確かです」
「柱間、貴様……」

 マダラの生暖かい視線が癪に触る。どうせ、どうせ私に盆栽のセンスはありませんよーだ。
 卑屈になっていれば、志村の旦那がじろりと睨んで来る。
 あ、すみません。里の今後を決める大事な話し合いの最中でした。

「こ、こほん! 特に反対も無さそうなので、逗留地改め、この里を『木の葉隠れの里』と呼ぶ事にします。皆様方、異論はありませんね?」

 当たり前の話だけど、異論は無かった。
 そう言う訳で、今日からこの里は『木の葉隠れの里』と名付けられ、木の葉の通称で呼ばれる様になるには時間はかからなかった。

*****

 私は今、非常にこれまでに無く満たされた思いでいた。
 周りの頭領達の信じられない物を見る様な視線も、千手の人達の微妙そうな眼差しも全くと言っていい程気にならない。
 まさか、まさか……ずっと願って止まなかった同じ感覚を持つ者がこの世にいただなんて……!

「大好きだ、マダラ!」
「くっつくな、鬱陶しい!!」

 溢れんばかりの思いを表現して抱きついたら、殴られました。涙が出る程とっても痛かったです。



「ほら見なさい、猿飛殿! 世界は広い、オレと同じ様な感覚を持つ者だってこの世に居るじゃないか!」
「オレは……オレは絶対認めねぇ……! どうしてこんな悲惨な盆栽を受け止められるんだ、マダラ殿……!?」

 心底絶望し切った表情の猿飛殿。隣では猪鹿蝶トリオもこくこくと頷いている。
 歴戦の勇士である志村の旦那と日向の長老殿も、何処か遠い目で私達を眺めてる。

「じゃあ、マダラ! これは、これは?」
「……今にも飛び立とうとする竜……ではないのか?
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