第百十話 切支丹その十一
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「それからさらにです」
「天下じゃな」
「それを目指しておるかと」
「尾張の蛟龍も天下を求めておるか」
「はい」
「では見過ごしてはおけぬ」
政宗は確かな笑みにもなっている。
「天下はわしのものになるのじゃからな」
「では」
「うむ、まずは奥州を制圧する」
政宗の伊達家は奥州の米沢にある。そこからだというのだ。
「そうするぞ」
「政もですな」
「まだまだ田が足りぬ」
奥州は寒い、その為米も中々育たないのだ。
だがそれをどうしていくか、政宗は片倉に話していく。
「だからこそ余計にじゃ」
「田をですか」
「堤も築き開墾をしていく」
「そのうえで」
「この米沢の周りに見事な田を築こうぞ」
「畏まりました」
「しかし。楽市楽座はな」
それはどうかと。政宗はここではその左目を考えるものにさせてその上で片倉達に対して述べたのである。
「少し考えるか」
「そうされますか」
「うむ」
こくりと頷いて答える政宗だった。
「いらぬ政をしてもな」
「はい、かえって禍になります」
「その通りじゃ。楽市楽座は織田家だからできるものか」
「おそらくは」
そうだと言う片倉だった。
「織田家の領内は他の家よりも治安がいいそうですし」
「怪しい者がおってもすぐにか」
「見つけ出されるとか」
「では楽市楽座をしても充分な備えがあるのじゃな」
「その様です」
「そうか。では当家もそれだけの備えをすればじゃな」
政宗は考える顔にになってそのうえで片倉達に述べる。
「難しいにしても考えておくか」
「ですが殿、当家で楽市楽座ができるかといいますと」
片倉は言う。それを実際に為すのは容易い、だがだというのだ。
「織田家程の治安のよさも必要ですし」
「他の家の者だけでなくならず者も出入りするようになるからのう」
「そうです。しかもです」
「人の多さもじゃな」
「織田家の領地は東海や近畿です」
それに四国の西だ。
「その殆どが人が多くしかも道もしっかりとしております」
「そしてその道をさらによくしておるのう」
「川には橋もかけ宿場町や馬置き場まで設けていっております」
「そうした土台があってこそじゃな」
「楽市楽座をして栄えるのです」
そして関所をなくしてだというのだ。
「この東北とは事情が違います」
「ここは人が少ない」
東北はどうしてもそうだ。近畿や東海と比べて人の多さが全く違う、信長は日本の人口密集地帯を押さえているという面もあるのだ。
「それではじゃな」
「はい、やはり織田家の様にはなりませぬ」
「そういうことか。だが」
政宗は片倉の話を受けたうえでそれでもと言うのだった。
「それで諦める訳にはいかぬ」
「諦めては国が豊かになりませぬな」
「
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