第百十話 切支丹その十
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「茶もまたその都度じゃ」
「殿もその都度淹れ方を替えておられると思いますが」
「言われてみればそうじゃな」
「それは誰しもだとは思いますが」
「わしも御主もまた然りじゃな」
「そうかと」
帰蝶とそんな話をしたのだった。信長はその次の日に早速佐和山に文を送った。今度は大谷と顔を会わせることになる。
信長のそうした人材を集める動きか各地の大名達にも知れ渡っていた。それは遠い奥州においてもだ。
伊達政宗は米沢でその話を聞きこう家臣達に話した。
「凄いものじゃな」
「そうですな。近畿、東海、四国の名のある者が集っています」
「二十国を手中に収めただけではありませんな」
「七百六十万石に満足しない」
「さらに人を集め政も行う」
「その政も見事なものだとか」
「農地の開墾と堤を築くだけではないな」
政宗はその左目を鋭くさせて述べた。
「さらにじゃ」
「楽市楽座ですな」
「それに関所も廃したとか」
「人の行き来が賑やかになり織田家の領地に人が集まっているとか」
「それにより織田家の領内はかなり豊かになっているとか」
「それこそ見違えるまでに」
「奥州でもしてみようか」
政宗はこうも言った。
「我等ものう」
「その楽市楽座をですか」
「関の廃止も」
「うむ、そう考えておるが」
こう己の家臣達に話す。
「それはどうじゃ」
「いや、最上に佐竹がおります」
「蘆名もまだ健在ですぞ」
家臣達は難しい顔で伊達家の敵であるそうした家の名前を出していく。
「若し当家がそうした政をすれば」
「おかしな者が次々と当家の領内に入ってきますが」
「それでも宜しいのですか?」
「取り締まりは十二分に行う」
その為の備えも忘れない政宗だった。
「そうしようと思っておるが」
「ですがそれでもです」
「忍の者も今より遥かに我が領内に入ってきます」
「それでも宜しいのでしょうか」
「下手をすればこの城にも入ってきますが」
「ふむ。刺客が来ればか」
政宗はここでまた言う。
「わしが危ういか」
「左様です」
「殿に何かあれば」
「楽市楽座は確かに人を集めます」
「しかしよからぬ者も来ますぞ」
「何、人がおる」
だが政宗はまだ言う。
「しかとな」
「しかと、といいますと」
「それがし達ですか」
「そうじゃ」
まさに彼等だというのだ。
「織田信長にはそれこそ数多くの家臣達がおるな」
「伊達に七百六十万石ではありませぬな」
家臣達の中で一際利発そうな男が言った。伊達家の筆頭家老である片倉景綱、幼名小十郎がこう言うのだった。
「それを治める為にです」
「人を集めておるか」
「だからこそ織田家は恐ろしいかと」
「人も貪欲に集めるからか」
「はい、織田信長は明らか
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