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戦国異伝
第百十話 切支丹その四
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「坊主と言っても人による」
「よき方もおられればおぞましいまでに悪辣な輩もおりますな」
「そのことは肝に銘じておきます」
「わしもじゃ」
 こう小西に返す。
「耶蘇教もじゃな」
「腐った者達がいますな」
「むいろ本朝の坊主なぞ可愛い位じゃ」
 十字軍も異端審問も全て信長が納得できるものではなかった。そこまでのおぞましさを感じているが故に言ったのだった。
 そうした話をしてからあらためて二人に話した。
「では今からじゃ」
「切支丹の者達を連れて来ます」
「そうさせて頂きます」
「うむ、それではな」
 信長も頷いてだった。
 彼の前に若い男達が来ていた。その彼等が名乗る。
「高山右近です」
 細い顔の男だった。
「中川清秀です」
 肌の浅黒い男である。この二人だった。
 二人は信長の前に平伏しそして名乗ったのである。
「この度お招きに応じ参上しました」
「宜しくお願いします」
「うむ、では顔を上げい」
 信長は二人に顔をあげさせそのうえで話をはじめた。そのうえで二人の見識を知りそのうえでこう言うのだった。
「ではじゃ」
「はい、それでは」
「そなた達を用いるとしよう」
 信長の告げた言葉はこれだった。
「是非共のう」
「そうして頂けますか」
「それがし達を」
「うむ、そうさせてもらう」
 確かな声で言う彼だった。
「話をして決めた。しかしそれだけではなくじゃ」
「武芸に用兵」
「そうしたことも」
「見せてもらう。後で御主達は権六と牛助に預ける」
 柴田と佐久間、織田家の武の二枚看板にだというのだ。
 信長は二人との話で彼等の政や文についての力量は見極めた。それで用いることを決めたがさらにだというのだ。
「武も見せてもらおう」
「畏まりました」
「それでは」
 二人も応える。こうしてだった。 
 高山と中川は柴田、そして佐久間に預けられ信長にその武の資質も見られた。信長はその槍や馬、兵の動かし方を見てこう言った。
「あれならよい」
「では将としても用いられますか」
「うむ、そうする」
 こう竹中に話したのである。
「是非共のう」
「では」
「また有り難い者達が入った」
 信長は満足している顔だった。その顔で訓練での彼等の兵の動かし方を見ながら竹中に話しているのだ。
「織田家はまた強くなったわ」
「ですな。そしてですが」
「うむ、何じゃ」
「近江の方で優れた者がおるとか」
 竹中は人材の話をした。
「どうやら」
「近江か」
「はい、あの国です」
「それはどういった者じゃ」
「確か大谷と言いました」
 竹中はその者の名前を言った。
「大谷吉継と
「わかった。ではその者のおる場所はわかるか」
「はい」
 竹中は信長の問いにすぐに答えた
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