第90話 最強VS最凶
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イデ。ビンタされたのに無反応だった。
「こんなに大勢の人に迷惑をかけて………先輩がこんな事を望む訳無いだろうが!!」
「そうね………それでもウォーレンを殺した男を私の手で殺したかった………例えそのためにどんな事を起こしても………なのに………」
首なし死体を見つめるシャイデ。
「もう良いわ………もう未練も何もない………零治、私を殺して」
零治に近づき、すがる様にように言う。
「「「シャイデ………」」」
星達3人は悲しそうにシャイデを見る。ライなんて今にでも泣きそうだ。
事実、俺もこんな姿になるとは思っていなかった。
今までのシャイデを見ていて、自分で吹っ切ったものだと思っていた。
なので、先ず仇討ちに出たこと自体驚いていたのに、まさかこんな姿になるなんて………
「情けねえ、情けねえよ………先輩の好きだったシャイデはこんな人じゃなかったのによ………」
「レイ………?」
いきなりの零治の言葉に星は零治の顔を覗き込む。
「先輩に聞いた事があるんだ………先輩はシャイデの何処に惚れたんだ?って………」
「………」
恐らく誰にも言った事の無い話。
シャイデも聞いた事が無かったのか、顔を上げて俺を見た。
「先輩はさ、最初にシャイデの『心』に惚れたって言ったんだ。『俺と境遇は似てるけど、俺にはランスター兄妹がいた。だけどシャイデはずっと1人で生きてきた。そんな辛い状況にも関わらず、執務官にも就いて、人のために頑張っていた………気高くてそして優しい綺麗な女性なんだ。だから俺も心から人の為にって思ったんだ』って。だけど今のアンタはどうだ?全く違うじゃないか………」
「違う………執務官に着いたのは親の仇の為………私はそんな女じゃ………」
「いいや、先輩は間違っちゃいない。だって星達にとても優しかったじゃないか。星達だけじゃない。俺にもそうだし、困ったことがあったら必ず協力してくれていた」
「それは………」
「だからそんなシャイデが俺達は大好きだし、大切な家族なんだ」
「零治………」
「だからもう何も無いなんて言うなよ………先輩が好きになった人なんだからこれからも胸を張って気高く優しい人でいてくれ………」
「レイ………」
夜美が近づいてそっとハンカチを渡してくれた。
気が付けば俺は涙を流していた。
全く、最近涙もろいな………
「バカ、自分の涙を拭けよ。俺は大丈夫だから………」
「良いんだ、我は2枚持っているからな」
そう言って無理やりハンカチを持たせる夜美。
全く気を遣いやがって………
「………だから一緒に帰ろうシャイデ。この事件を終わらせて全て解決させて………そしてみんなで先輩に挨拶しよう」
「!!」
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