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戦国異伝
第百九話 尾張者達その九

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「二十四将に真田幸村がおる」
「そして十勇士ですな」
「これだけの者がいれば岐阜城とて一気に攻め落とされる危険がある」
「そして城が落とされれば」
 拠点にしているその城がだというのだ。
「織田の権威は大きく落ちる」
「それは避けたいですな」
「しかも武田には対しやすくとも上杉にはそうではない」
 謙信は越後におり北陸から来ることが考えられるが美濃にいてはすぐに対することが難しいというのだ。
「だからいささか不便じゃ」
「それ故に安土ですな」
「あそこは政もしやすいわ」
「政もとは」
「この城は堅固じゃが険し過ぎる」
 稲葉山の堅固さは相当なものだ。守るには確かに易い。
 だが政はどうか、それを執るとなるとだ。
「山城自体が政には向いておらぬ」
「確かに。政のしやすさでは」
「清洲の方がよかったであろう」
「はい、あの城は治めやすかったです」
 清洲城は今も尾張の拠点となっている。織田家にとって大事な城であることは変わってはいない。
 平手もこのことを思い出して信長に話す。
「それと比べますと」
「岐阜は治めにくいな」
「行き来が難しいです」
「それ故に山城は政には向いておらぬ」
 あくまで戦の為の城だというのだ。
「だから政には平城の方がいいのじゃがな」
「ですが平城は」
「攻められると弱いのう」
「城にもよりますが山城と比べますと」
「それでじゃ」
 信長は言う。
「あの安土山を使おうと思っておる」
「あの山をですか」
「政がしやすくしかも守りに易い城にしたい」
「その二つを合わせますか」
「そう考えておる。あくまでやがてはじゃが」
 今ではないがそれでもだというのだ。
「考えておるぞ」
「暫くは政ですな」
「その政の為にも人もより集めたい」
 つまり働き手も集めるというのだ。
「さらにな」
「虎之助達からさらにですか」
「うむ、集めたい」
 そうしたいというのだ。
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