第百八話 茶の湯の南蛮人その十二
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「そうなのか」
「はい、これから調べましょうか」
「ふむ、では頼めるか」
信長は袖の下で腕を組んだまま考える顔で利休に答える。
「その様にな」
「畏まりました。それでは」
「頼むぞ」
「それでは」
「さて、後は都も整え」
信長は闇の話から別の話に変えた。
「人も探すか」
「天下を治める力となる方をですか」
「探そうと思っておる」
「では織田家も調べるとよいかと」
利休はまずは織田家の中を探すことを勧めた。それと共にこの逸話も信長に話した、その話は何かというと。
「韓信は最初は項羽のところにいました」
「しかし項羽は気付かなかったな」
「それが大きな誤りとなりました」
話したのはこの逸話だった。
「そして陳平もまた」
「項羽は自身があまりにも凄かったからのう」
「史記でも屈指の英傑かと」
「だがそれ故にじゃな」
「はい、韓信にも陳平にも気付きませんでした」
「若し項羽ではなく劉邦であったなら最初から気付いたやもな」
「少なくとも皇帝になるまでの劉邦は」
皇帝になってからの劉邦は猜疑心の塊になってしまう。史記においても皇帝になってからの劉邦は否定的に書かれている。
「そうしていたやも知れませぬ」
「あの頃の劉邦はよかったのう」
「少なくとも皇帝になるまでは」
韓信も皇帝になってからの劉邦に殺されている。このことも有名な言葉になっているのも史記の功績である。
「ですから殿もです」
「まずは当家を探すか」
「そうすべきかと」
こうした話をしてから信長はまずは家の者から人材を探すことにした。天下随一の勢力となったが人を集めるのはこれからだった。
第百八話 完
2012・9・26
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