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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第83話 冀州清河国
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に清河国に疎開させておけ」

「董卓は武力を背景に、中央を席巻したということですね。董卓の謀将賈は必ず私達の抑えとして、麗羽殿と私の母親を拘束しようとするはずです。私もその心づもりで準備いたします」

揚羽は私の考えに得心したように頷きました。

「この世界の状況は私の知っている歴史とは明らかにずれがあるが、本筋は同じだ。差異があると思うのは本質を見ず、ただ表面だけしか見ていないからだ。仮に、変わるとしても、それは役者の立位置が変わるだけだ。私はより有利な立ち位置を望んでいる。そして、私が歴史を本当の意味で塗り替えるのは」

「正宗様が他国に対し侵略行動に出るときですね」

揚羽は怜悧な笑みを浮かべました。

「飲み込みが早いな。歴史を変えるとはそういうことだ。それまでは予定調和。私と同じく歴史を知る北郷は私のように歴史を捉えていないだろう。私の行動は歴史の支流の流れを変えただけで、その本流の流れを変えたわけじゃない。現時点で歴史の本流とは朝廷の権威が失墜し、零落することだ。その流れを破綻させない限り、歴史の本流への影響は些細なもの。麗羽にはこのことは伏せて置いてくれ、彼女は何進様を救おうとするはずだ」

「畏まりました。一つご忠告します。麗羽殿にはそのことは決して口にせぬようにしてください」

揚羽は私を真剣な表情で言いました。

「ことが済めば話した方が良いのではないのか?」

「はあ……。正宗様、相手に包み隠さず話せば良いというものではないです。その行為は誠実でもなんでもないです。自分が楽になりたいからでしょう。もし、思っていなくても人とは無意識に楽な方を選ぶものです。そのことは墓場まで持っていってください。私も墓場まで持っていきますから」

揚羽は溜息をついた後、厳しい表情で言いました。

「分かった言う通りにする。どうせ何進様の死は避けられない。揚羽は何進様が劉弁を後継者に押すのを諦めると思うのか? 彼女の暗殺を一度防ぐことができても、後継者争いをする限り、いずれ死ぬのは目に見えている。それに彼女が死ななければ、歴史がズレてこれから先のことが読めなくなる。逆に彼女を救ったら、下手をすると私達が董卓の立ち位置に置き換わる可能性すらある。そんな危険な橋を私は渡るつもりはない」

「何進様は諦めないでしょうね。宦官達も劉協を押すのを諦めないでしょうけど。何進様と宦官達は変革の為の生贄といったところですか……」

揚羽は指を顎にやり考えこみながら言いました。

「宮中の権力闘争はやりたい奴にやらせればいい。あんなものは自らを滅ぼす行為でしかない」

私は遠くの空を眺めながら言いました。

「正宗様、先程話されていた北郷とは誰のことでしょうか?」

「天の御使いは知っているか?」


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