第百七話 地球儀その三
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「その小さな海に囲まれた国は」
「ふむ、そうした国があるか」
「左様です。どう思われますかあ」
「やはり小さいのう」
そうだというのだ。
「それもかなりな」
「そう思われますね」
「しかしじゃ」
「しかし?」
「何処じゃ、そこは」
「この国です」
こう答えるフロイスだった。
「この国なのです」
「まことか?」
「はい、今我等がいる国です」
驚く信長にこう話す。
「小さくと言われましたが」
「ううむ」
信長は驚きを隠せない顔で述べていく。
「そうであったか」
「大きさで言えばです」
「こちらとしてはな」
「まさかここまで小さいとkはですか」
「天下は広い」
これはずっと信長が言ってきたことだ。
「だからこそな」
「しかし世界はより広いのです」
「この国よりもずっとじゃな」
「左様です」
「ううむ、ではこの国はあれか」
信長は唸る様にして言う。
「小船の様なものじゃな。河の中の」
「そうなるかと」
「そうじゃな。そしてじゃ」
信長はその地球儀を身ながら言っていく。
「世界じゃな」
「はい、世界です」
「丸いのじゃな」
今度言うのはこのことだった。
「実は」
「はい、そうです」
「ふむ。実は今まで世界が丸いとは夢にも思っておらんかった」
信長は地球儀を身ながら唸る様に述べる。
「そうだったのか」
「誰もが最初にそれを知り驚きます」
「そうであろうな。これをな」
「これを?」
「これを見せてくれるか」
地球儀を傍に持って来る様にというのだ。フロイスもそれを受けて信長に地球儀を差し出す。信長はそれを手に取ってからさらにまじまじと見る。
その地球儀を読みながら信長はさらに言う。
「ここが日本でじゃな」
「西にあるのが明です」
「西、左じゃな」
信長はすぐにその場所を理解して言う。
「うむ、確かに明じゃ」
「そしてその南西に天竺があります」
「ここじゃな」
信長は明から見て南西にある逆三角の土地に指をやっていく。そうしてそのうえで海や様々なものを見ていく。
その中でフロイスは信長にこうも言った。
「それでなのですが」
「むっ、面白い土地があるのう」
信長は日本から見てかなり西にある土地に囲まれた海の中にある人の足を思わせる形の半島を見つけた。
「この土地は何じゃ」
「そこにです」
フロイスもここで言う。
「その半島に我々の最も尊い方がおられます」
「どうした御仁じゃ」
「法皇といいまして」
「本朝の法皇様とはまた違うのう」
「確かこの国の法皇といいますと」
フロイスもこのことは聞いて知っている。それはというt。
「退位した皇帝、いえ天皇でしたね」
「うむ、帝じゃ」
「それは上皇でしたね」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ