第百六話 二条城の普請その十
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「そうしたことも身に着けておられることがわかったのじゃ」
「そして、ですか」
「殿の凄さを知ったわ。それでじゃが」
「はい、それではですか」
「殿と共に行く二条城の普請も何か面白い趣向を用意されているようじゃしな」
林は実に楽しそうに話す。
「それもな」
「見せてもらいますか」
「うむ、そうしようぞ」
林も丹羽も二条城の普請を楽しみにしていた。そうした話をしてからだった。
彼等は次の日その二条城の普請に行くと信長は虎のぬかばきを身に着けてそこにいた。それで
その後ろにある者達を連れていた。それはというと。
「囃し方ですな」
「うむ、そうじゃ」
彼等を見ていぶかしむ丹羽に楽しげに笑って応える。
「ここに連れて来たがのう。あとこの際二条城の他に聚楽第も築く」
「それもですか」
「築く時は一気にやる方がよい」
「その方が手間も銭もかかりませぬか」
「そうじゃ。用意が出来次第聚楽第の方にもかかるぞ」
「畏まりました。それで、ですが」
「囃し方じゃな」
今度は信長から言う。
「どうしてここに連れて来たかじゃな」
「はい、それはどうしてでしょうか」
「この者達に拍子をつけさせる」
「拍子を?」
「うむ、それをじゃ」
用意するというのである。
「人夫達が働く際に拍子をつけさせるのじゃ」
「それはまたどうしてでしょうか」
「拍子をつけるな」
信長は丹羽にその理由を楽しげに話していく。まだ仕事ははじまっていない。そろそろそれぞれの場所につこうとしている。
その中で信長は丹羽にこう言ったのである。
「働く者達にそれをつければどうなる」
「ううむ、わかりませぬ」
庭は首を捻って応える。
「どうなるか」
「拍子があれば楽しいのう」
「それはわかります」
丹羽もこのことは頷けた。
「調子に乗って」
「そうじゃな。実にな」
「それを働く時にですか」
「調子に乗って働けば楽しいではないか」
拍子や掛け声に乗ってだというのだ。
「それにt軽度に気が晴れておる方が動きがよい」
「動きもですか」
「そうすればかえって怪我もせぬ。眠くなったりもせぬからのう」
「そうしたことをお考えになられてですか」
「連れて来たのじゃ」
そうだったというのだ。
「そうしたわ」
「それではこれからその者達を使って」
「拍子を立てる」
実際にそうするというのだ。
「そして楽しく働かせようぞ」
「では今より」
「皆それぞれの場についたな」
場を見ればそうなっていた。何時でもだった。
「ではじゃ」
「はい、さすれば」
丹羽が応えてからだ。信長は囃し方達に顔を向けそのうえで彼等に対して明るい顔でこう命じたのだった。
「ではよいな」
「では」
「大きな声で調子を
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