第87話 零治の過去 3月10日
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新暦65年10月下旬………
「でやぁ!!」
「おっと」
抜刀で先輩に斬りかかるが、いとも簡単に避けられる。
「相変わらず速いな零治」
「簡単に避けてよく言いますよ………魔神剣!!」
魔力の衝撃波を先輩目掛けて放つ。
「おっとっと………」
先輩は横転で衝撃波も難なく躱した。
「全く、剣を使った事が無いにしては中々さまになってきたじゃないか。結構素質あるんじゃないか?」
「いえ、まだまだですよ」
しかし、先輩の言うとおり最初の頃よりは幾分マシになったと思う。
技は全てデータには入っているので出せることは出せる。
だけどそれをどのように使えば良いのかが自分で全然分かっていないので、使えない。
ゲームのアスベルのイメージで使ってみるが、それでうまくいく技とうまくいかない技がそれぞれある。
魔神剣などの衝撃波は単純に魔力を込めて刀を振るったら衝撃波が出たが、魔王炎撃波みたいな奥義技だとただ単に薙ぎ払うだけになってしまった。
なので未だに使えない技が多くあるのだが………
「よし、そろそろ終わりにするか」
「は、はい………」
何とか返事をして俺はその場に倒れ付した。
今回は刀だけで戦っていたが、ブラックサレナと比べて防御が固いわけでもないので、後半になると先輩の攻撃を避けることに精一杯になってしまい、全然攻撃出来なかった………
転移をしても複数展開したスフィアに360度攻撃され、転移で現れた瞬間攻撃を受けるという隙のない攻撃。まるで複数の敵に囲まれて戦ってるようだった………
「零治はその姿でもブラックサレナみたいなバリアーを張れるようにならないと、こういうオールレンジ攻撃に対応出来なくなるぞ」
『ですけど私の中は既にかなりパンパンで新たにデータを入れるスペースなんてありませんよ?』
俺の前にラグナルが答えたが実際その通りだった。
アスベルの剣技、ブラックサレナのアーマーと技、アーベントもブラックサレナと同じで既に容量をかなり食っている状態である。
それに高速移動のソニックムーブを入れる容量を使うともう新しいデータを入れる余裕なんて無いのだ。
「だったらちょうどいい技を教えてやる。ガキの頃まだ魔力ランクが高くなかった腐れ縁に教えた魔法だ」
そう言って先輩のデバイスからラグナルにデータを転送した。
『気休めヒーリングになんちゃってプロテクション?』
「限界まで魔力を押さえた、かろうじてプロテクションになるかなって技と気休めだけどあった方がましなヒーリングだ」
「何ですかその微妙な技は………」
『ですけど容量は少ないので大丈夫です。これなら高速移動のソニックムーブ分の容量もあります』
「………ならいいけど」
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