第百五話 岐阜に戻りその一
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第百五話 岐阜に戻り
元親達長曾我部の者達や三好家から降った者達まで連れてそのうえで信長は都に戻った。御所に戦勝報告に来た信長が義昭に会うと開口一番こう言われた。
「四国、特に三好を降したのはよい」
「有り難きお言葉」
「そして助けに来てくれたことにも礼を述べる」
信長のそうした行いに礼を述べることは忘れない、しかし義昭の顔はその中でかなり不機嫌なものを見せていた。
そしてその顔でだ。こうも言ったのである。
「しかし三好が攻めてきた理由はじゃ」
「そのことですか」
「それは御主が都を開けておったからじゃ」
「兵は置いていましたが」
「そうではない。御主は都に邸を置かず岐阜におるではないか」
義明は不機嫌そのものの顔で信長にこのこtとについて述べた。
「それで都を開けたからじゃ」
「三好が来たというのですか」
「そうじゃ。確かにその三好は降った」
三人衆も出家した。これで都を脅かす者はいなくなった。少なくとも直接攻めて来る者はいなくなった筈だ。
だがそれでもだとだ。義昭は言うのだった。
「だがそれでもじゃ」
「都を開けておるからですか」
「うむ。今後こういうことがあればどうする」
義昭は言う。
「だからこそじゃ」
「都におれというのですか」
「そうじゃ。そうせよ」
義昭は信長に命じた。
「以後はな。そうでなくてどうして幕府を守れるのじゃ」
「そのことですが」
信長は自ら己に詰め寄らんばかりの義昭に対して言おうとした。しかしその前に幕臣である細川がこう義昭に述べた。
「公方様、そのことですが」
「何かあるのか?」
「織田殿が治められているのは都だけではありませぬ」
「そんなことは知っておるわ」
「都だけではありませんので」
それでだとだ。細川は義昭に粘り強く話す。幕臣達は義昭から見て左右に連なって下に控えている。信長は主な家臣達をその後ろに控えて義昭の前にいる。細川は義昭のすぐ左手から言ったのである。
「二十国があります」
「その全てを治めておるのであろう」
「新たに加わった四国、そしてどうやら検地の結果」
どうなのかとだ。細川は話していく。
「七百六十万石はあります」
「何と、それだけあるのか」
「そうです」
尾張に美濃、飛騨、伊勢志摩で二百四十万石だ。そして大和の百万石に摂津、河内、和泉の百万石でまずは四百四十万石、そして都のある山城に六角の領地だった近江の南と伊賀でまた百万石だ。そして播磨の八十万石で五百二十万石だ。
丹波に丹後と若狭三国で百二十万石、六百四十万石となる。淡路と讃岐、阿波、それに土佐で百二十万石で七百六十万石だ。これが信長の今持っている石高だ。
この石高を義昭に言う。すると義昭の顔色
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