第84話 文化祭(零治)
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「そう………」
う〜ん、加奈が何を考えてるか分からないな………
仕方がない、こっちから切り出すか。
「で、そんな事を話す為にこんな所に連れ出したんじゃないんだろ?」
「ええ、そうよ………私は回りくどく聞いたりすることが苦手だから直球で聞くわね」
そう言って深呼吸する加奈。
何だか自然と身構えてしまう………
嫌な予感がしてならない………
「………兄さんは私の事どう思ってる………?」
加奈の聞いてきた言葉はある意味、俺の嫌な予感を裏切らなかった………
「加奈の事………?」
「そう私の事………」
真剣な顔で俺の事を見る加奈。
その顔を見れば冗談を言う場面で無い事位分かる。
「手の掛かる妹………」
「ごまかさないで、私は真面目に聞いているの………」
やっぱり誤魔化せないみたいだ。
俺は加奈の事をどう思っているかか………
ごく当たり前の様に妹だと思っていたから考えてもいなかった。
………いや、俺は加奈の事を羨ましく思っていた。
前世の時から勉強も運動も出来、ルックスも良い。そんな加奈を妹に持てて兄としては嬉しかったのと同時に妬ましく思っていた時もある。
何で妹はこんなに恵まれているのに俺はこんなにも普通なのか。
まあ普通でも気にしなかったからそこまで思わなかったけど………
それでも妬ましく思った事はあった。
「俺は………」
そしていつの間にか俺は………
ブルルルルルルルル。
突然俺のポケットにある携帯が震えた。
助かった、誰だか分からないけどこれで誤魔化せる。
そう思って俺は携帯に出た。
「もしもし」
『零治?私よ』
「シャイデ?一体どうした?」
『………最後にお別れと思ってね』
「お別れ………?お前何言ってんだ?」
『準備が整ったの。あの時止まった時間を再び動かすためのね………』
「シャイデ?お前一体何を考えてんだ?」
『楽しかったわ。星がいてライがいて夜美がいて皆がいて………あの人が死んでからも楽しい時間だったわ。だけど………』
「おい、お前………」
『足りないのよ、物足りない………あの人がいた時間が無いのよ、どこにも無いのよ………』
「シャイデ………」
『だから私はあの時の時間を取り返す。止まった時間を再び動かす』
「そんな事しても先輩は帰って来ないぞ」
『分かってるわ、だけどその報いは受けてもらうわ』
「止めろ、先輩はそんな事望んでなんか………!!」
『大丈夫よあなた逹には迷惑をかけない。心配しないで』
「ふざけんなよ!!お前だってもう家族何だよ!!間違った道に進もうとしてるお前を止めるのも家族の役目だ!
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