第82話 文化祭(フェイト)
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としてたじゃない………」
「文化祭………?」
文化祭と聞き、頭の中にあの屋上での出来事が再び浮かび上がった。
「そうだった………」
「あれ?本当に忘れてたの?」
またもぼーっとし始めたフェイトにやってしまったと後悔するリンディ。
軽く魂が抜けているんじゃないかと思うくらい、ぼーっとしている。
「取り敢えず私に話してみない?少しは悩みも晴れるかもよ?」
そんな問いかけに反応が無く、駄目だと思ったとき………
「………なら聞いてくれる?」
フェイトがいきなりそう言ったのであった。
「なるほどね………」
フェイトの話を一通り聞いていたリンディは中々面白いことになってるなと内心ワクワクしていた。
フェイトの母親になってから容姿は可愛いのに浮いた話が一つも無いことに残念だと思っていただけに、どうなるかとても楽しみだった。
「フェイトはそれを見てどう思ったの?」
「どうって………」
フェイトは暗い顔をして、胸に手をあてる。
そんな様子を見て、リンディは確信したのだが、本人の口から聞かなければハッキリしないのでもう少し揺さぶってみる事にした。
「フェイトはアリサちゃんの事を心から応援したいと思った?」
「わ、私は………」
そう言って黙ってしまうフェイト。
だけどリンディは何も声を掛けなかった。
「アリサは友達だし、応援したいと思うんだけど、2人が恋人として歩いている所を想像したら胸が苦しくなるんだ………」
フェイトは悲しそうな顔で弱々しく呟いた。
(自分が零治君の事を好きになってきているって事とアリサを友達と応援したいという気持ちが交差してるのね………)
そう思ったリンディは考え直し、真剣に彼女の悩みを聞くことにした。
「フェイトはどうするべきだと思う?」
「………私?」
「そう、フェイトの気持ち。アリサちゃんがどうかとは取り敢えず置いておいて」
「私は………」
そう言って考え込むフェイト。
リンディはフェイトが口を開くのをずっと待っていた。
「私は………私は、優しくて気が利いて、困ったときには文句を呟きながらも助けてくれる零治が好きだよ。だけどこれがどんな好きなのか分からないの………」
「そう………」
「でもね、さっきも言ったけど2人が恋人として歩いている所を想像したら胸が苦しくなるんだ………ねえ母さん、これってどんな好きなのかな?」
「………それは私からは言えないわ。自分で答えを出しなさい。悩みを解決出来るような答えをじゃ無くてごめんね。けれど今回思った気持ちを大事にしなさい。女はそんな経験をして更に綺麗になるのよ」
そう言ってリンディはフェイトに笑いかけた。
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