第81話 文化祭(神崎)
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なに思われてるのに後回しにするなんて………
俺は恋愛経験無いけど、これが最低な行為だって事は分かる。
「なあ加奈」
「何よ………」
俺は夜空を見上げたまま、加奈に話かけた。
「俺は転生者なんだ」
「………へえ」
俺は加奈の方を見ないで淡々と語る。
反応が薄いのは容姿も典型的だし、知ってたんだろうな………
「俺はさ、加奈が質問した通りに神様に会い、神様から特典を貰って転生してきた。この容姿もそれによるものなんだ。俺はさ、前世では駄目な男でさ、恋愛経験無しで自分に自信が無くて人と話すのが怖くなって引きこもった………そんな俺も二次創作の主人公みたく、主人公になれると思ったんだ………」
加奈は俺の話を真面目に聞いていくれている。
「それで俺は高町逹に馴れ馴れしく近寄った。その結果が変わる前の俺だ。それで俺以上に高町逹と仲良くなってる零治に嫉妬して、訳分からない事言って………今思うと本当に恥ずかしい………」
俺は苦笑いしながら言う。
「それを気づかせてくれたのは零治、嫉妬していた相手だ。拳で教えてくれたよ。あれから俺は変わることが出来た………いや、まだ途中だな。そんな変ろうとしている俺だけど、やっぱり前の行いをしていた俺を彼女達は当然受け入れてくれない。分かっていた事だけどかなり辛かったんだ………そんな時、俺に声をかけてくれたのが加奈だった」
名前を出したが反応は無い。
だけど俺は話を続ける。
「なんてこと無い普通の会話だったけど、俺にとっては凄く嬉しかったんだ。俺の事見ていてくれる、それだけでも嬉しかった………」
そう言って俺は加奈の方を向く。
加奈の目は今日最初の時に見たときと同じく、目が赤くなっている。
「多分それからだと思う、俺は加奈に惹かれてきていたんだ。乱暴で、マイペースで強気な加奈。だけどお節介で優しく、意外と女の子っぽい所がある」
「意外は余計よ………」
「俺はそんな加奈の全部が好きだ。こんな気持ち、前世含めて一度も無い。好きで好きで仕方が無いんだ」
俺は加奈を見つめて、ゆっくりと言った。
本当ならこんなタイミングで言うことじゃ無いと思う。だけど言わなくちゃいけない気がした。
「神崎………だけど私は………」
「分かってる。加奈は零治が好きなんだろ?だけどそんなの関係無い、必ずあんな朴念仁よりもいい男になって加奈を惚れさせてやる!!……………だから加奈も諦めず頑張れよ」
「神崎………」
「俺も加奈を惚れさせる様に頑張るからさ、加奈も最後まで諦めるなよ。ちゃんと答えを聞けるまで………そんな弱気な加奈は加奈らしくないぞ」
そう言って俺は手を差し出す。
加奈は直ぐには手を取らなかったが、暫くして手を掴み立ち上がった。
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