第81話 文化祭(神崎)
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今の兄さんは家族が全てだ。
のんびりしている内にどんどん仲良くなっていく兄さん逹。
………どんどん私の居場所なんて無くなっている。
もう私の入り込む余地なんて無い。
そんな事を思うと………
「兄さん………」
私は誰も居ない所で静かに泣いた………
「はぁはぁ………」
何とか逃げ延びた俺は誰もいなさそうな校舎裏へと来ていた。
しかし、今日の文化祭は全然楽しめてない………
始まってから逃げ回ってばかりだ。
「だけどここなら………」
そう呟いて一息つく。
流石の俺も体力の限界だ。
「だけど少し休んだらまだ移動しないとな………」
恐らくこの平穏も長くはないだろうな………
そう思いながら奥へ進むと、誰かのすすり泣く声が聞こえてきた。
一体誰だ?
「って加奈!?」
そこには壁に寄り添って泣いている加奈がいた………
「………何見てるのよ」
「いや………誰かのすすり泣く声が聞こえてきたから何かあったのかと思って……」
「いいから何処かへ行ってくれない?偶然だとしてもこんな情けない姿見られたくないの」
相変わらずの加奈だけどやはり力強さが無い。
「なあ、何か………」
「いいからどっか行って!!」
怒鳴り声に俺は萎縮してしまう。
情けない話だけどそれぐらい迫力があった。
前の俺なら普通に従ってしまうかもしれなかったけど、目の前には気になる女の子。
恋愛経験が無い俺でもここで引いちゃいけない!
「………いいや、ほっとけないよ」
「いいからお節介は十分!!もう構わないで!!」
「ほっとけるか!!俺は………」
「いいから!!私は大丈夫だから、どっか行ってよ………」
そう言って再び泣き始める加奈。
流石にここにいるのはマズイと思ったので、少し離れた場所で加奈が落ち着くのを待つことにした………
「………まだいたのアンタ」
どのくらい経っただろうか?
加奈はまだ目が赤いが落ち着いたみたいだった。
「さっきはごめんなさい………だけど女の泣く所を見てるなんてデリカシーが無いわよ」
「………それはごめん」
だって経験無いし………
漫画だったらヒロインを抱き締めたりするかもしれないけど、いざ加奈にやったらぶっ飛ばされただろうしな………
「もう大丈夫よ、泣いたらスッキリしたから」
「そうか………」
だけど加奈の顔はまだ暗い感じがした。
ここは突っ込んだ方がいいのか………
くそっ!恋愛経験があれば………
「じゃあ、私は行くから………」
「あっ!?」
加奈が行
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