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戦国異伝
第百二話 三人衆降るその一
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                  第百二話  三人衆降る
 織田家の軍勢が讃岐に向かってくることを聞いてだ。三好家の者達は大いに焦っていた。そうしてだった。
 彼等、特に国人達は口々にだ。こう言っていた。
「こうなっては終わりか」
「うむ、どうしようもないな」
「織田家に降るか」
「織田信長は戦では苛烈じゃが無闇に命は奪わぬと聞く」
 それでだった。
「では織田家に降るか」
「そうしてじゃな」
「わし等の土地を守ろう」
「そうするか」
 こうした話をしていた。彼等は降るつもりだった。
 だがその中でだ。こう言い合ったのだった。
「三好様にもお話しよう」
「今は降るしかないとな」
「織田殿に降れば命は助けてもらえる」
「だからな」
 それでだとだ。彼等は話してだ。
 三好から織田に降ることにした。讃岐だけでなく阿波でもだ。彼等は次から次に織田家に降ろうとしていた。
 その動きは三人衆も見ていた。それでだ。
 彼等は讃岐の居城十河城にいた。その中でだ。
 三人で顔を寄せ合いだ。こう話していた。
「どうしたものかのう」
「参ったな。水軍も敗れたな」
「まずいとは思っていたが」
 数と勢いを見てだ。そのうえでの話だった。
「数が違い過ぎるわ」
「あれでは勝てぬか」
「最早守りはないぞ」
 織田家が讃岐へ入ること、それをだというのだ。
「ではどうする」
「守りがないこの状況では」
「讃岐に入られれば終わりじゃ」
「国人達も家臣達も織田家につこうとしておる」
「しかもそれを止められぬ」
「打つ手がない」
 これが三好の現状だった。
「参ったのう」
「例え戦になっても負けるぞ」
「最早勝てる筈がないぞ」
 このことは彼等もよくわかっていた。だかrこそ今ここで言うのだった。
「篭城してもな」
「織田は十万を超える大軍じゃぞ」
「我等は精々一万じゃ」
 最早そこまでの差が出来ていた。
「どう考えても勝てぬわ」
「全員城を枕にして討ち死にじゃ」
「それしかないな」
 その未来は見えていた。誰よりもよく。
「このままではな」
「打つ手はもうない」
「織田が讃岐にあがれば国人達も家臣達も雪崩を打って織田家につくぞ」
「それでどうにかするとかはな」
「無理じゃ」
「絶対にな」
 こう言う彼等だった。そしてだ。
 彼等は程なくして一つの結論を出した。その結論はというと。
「降るか」
「そうじゃな」
「それしかないわ」
 彼等も程なくしてこの考えに至ったのである。
 それでだ。三人衆はこうも言い合ったのだった。
「では我等は出家するか」
「うむ、出家して寺に入ろうぞ」
「それで話は済むな」
「ではその様に」
 三人衆は皆出家をすることで話が落ち着いた
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