第百一話 海での戦その七
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「しかしまだ戦うならばじゃ」
「攻めるだけですか」
「そのことも伝えよ。命を粗末にするなとな」
「畏まりました。それでは」
生駒は再び頷いた。こうしてだった。
囲まれている三好の軍勢に降伏を勧める使いが来た。それを受けてはだった。
三好水軍の将もだ。こう言うしかなかった。
「止むを得ぬわ。もう勝敗は決したわ」
「左様ですか。それでは」
「仕方ありませんな」
周りの者達も頷きそのうえでだ。彼等は降ったのだった。
海の上での戦に勝った織田家の軍勢は意気揚々と讃岐に向かう。その途中で信長にある報が届いた。その報はというと。
「そうか、淡路の洲本城がか」
「はい、自分達から降ってきました」
「先程使いが来ました」
森と池田が信長に話す。
「そうなりましたので」
「そして淡路の国人達もです」
次々とだ。織田家に降ってきているというのだ。
「淡路は間も無く殿のものとなります」
「無事に」
「そうか。それは何よりじゃ」
二人の話を聞いて信長はまた笑みを浮かべた。そしていうのだった。
「ではじゃ」
「はい、淡路も手中に収めましたし」
「次にですな」
「このまま讃岐じゃ」
そこにあがってだというのだ。
「あの国を一気に攻め取るぞ」
「そうですな。憂いもなくなりましたし」
「それならば」
森も池田も笑顔になっている。実は讃岐にあがる前に兵の一部を淡路に向けて攻めるつもりだったのだ。兵は一万程を考えていた。
だがそれよりも前にだった。淡路は自分達から降ってきた。これは織田家にとって思わぬことだった。そしてだった。
信長は舟の上で満面の笑みでこうも言ったのである。
「瀬戸内の東は手に入った」
「淡路と共にですか」
「そうなりましたか」
「うむ、なった」
まさにだ。そうなったと池田と森に言うのだ。
「よいことにな」
「瀬戸内の東は淡路があってこそですか」
「それ故にですか」
「そういうことじゃ。淡路は近畿と四国の間にある」
海を挟む双方のだというのだ。
「あの島はやがてじゃ」
「水軍を置きますか」
「これで三好の水軍も手に入る」
だからだとだ。信長は言うのだった。
「二郎のものだけではなくな」
「それで殿」
竹中が信長に問うた。ここで。
「讃岐に上がりそして阿波もですな」
「三好との戦はこれで終わらせるぞ」
「しかしそれで終わりでしょうか」
竹中はやや怪訝な顔になり信長に問う。
「そうお考えでしょうか」
「四国だからじゃな」
「はい、四国は讃岐と阿波だけではありません」
実際にこう答える竹中だった。
「土佐、それに伊予もあります」
「そうじゃな。土佐には長曾我部がおるな」
「遂に土佐を一つにしました」
それまで土佐
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