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戦国異伝
第百一話 海での戦その五
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投げ飛ばされ味方を三人程巻き込んで海に落とされた。これが合図だった。
 織田家の軍勢は槍を突き出し舟に乗り込み刀を振るって三好の兵達を次々と倒していく。九鬼の兵達はさらに鉄砲を放ち柴田達の攻めを助ける。
 戦は思いもよらぬ状況になっていた。少なくとも三好にとっては。
 三好の兵達は次々と海に落ち舟が沈む。それを見てだった。
 信長は舟の上の本陣において会心の笑みを浮かべていた。そしてこう言った。
「よいぞ」
「これが二郎殿の策ですな」
「うむ、海の上で鉄砲を使う」
 このことを生駒にも言う。
「これはかなりな」
「誰も思わないものですな」
「海には潮もあるからのう」
 その潮風が厄介なのだ。普通の川の上ならばそれ程気にはならない。
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