ALO編
八十話 それから、これから(完全版)
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をはばたかせなきゃ空なんか飛べるわけがない……違うか?」
「え……?」
リョウの軽い調子の言葉に、俯き加減でポロポロと光の粒をこぼし始めていたリーファは不思議そうに顔を上げた。
「兄貴の言う通りだ……行けない訳なんかない。行こうとするかどうかだよ」
「お兄ちゃん……」
キリトの顔をまっすぐに見たリーファに囁くように、リョウは伝える。
「それに、さっき言ったろ?」
その言葉の意味を、キリトは直ぐに察したらしかった。続きを紡ぐ。
「リーファ、迎えに来たよ」
「え……」
「そろそろ時間だ。いくぜキリト!」
「おう!」
「え、きゃっ!」
リーファの手を掴んだキリトが飛び出し、先行して翅で力強く空気を切り裂くリョウを追って加速する。
────
全速力で進むキリトとリョウを、リーファは手を引かれながら必死に追い続ける。
やがて目の前に、巨大な樹木の影とその樹の上に乗る光が見え始める。世界樹と、新生ALOにできたユグドラシル・シティの光だ。リョウもキリトも、その中央に向けてまっすぐに飛んでいく。
やがてその光が街灯や建物のものだと分かるようになって来た、その時だった。
──鐘が鳴る──
ゴーン。ゴーンと、世界樹の中央から巨大な鐘の音が轟く。
その音はこのALO世界に零時を知らせるものであり、キリト達が以前激戦を繰り広げた、世界樹内部空洞の上部から鳴り響いて居るものだ。
それを聞いた途端、キリトとリョウは翅を大きく広げて一気に静止に入る。
キリトの後ろを飛んでいたリーファは急な減速について行けず前に投げ出されそうになったが、キリトに抱きとめられるように受け止められた。
「まいった、間に合わなんだな」
「だな。リーファ、来るぞ」
「え、く、来るって……」
言いつつキリトは空の一点を指差す。そこには天空高く上る月が有り、その緑色の光が世界を煌々と照らす……
「月……だよね?」
「いんや。よーく見てみろ」
「え……?」
言われたとおりにもう一度月を見直す……と、違和感に気が付いた。月の右下の淵が、小さく掛けているのだ。それが何かに遮られているだと気が付くのにさほどの時間はかからなかったが、この世界では月食など起こらない筈……そうこう思っている間に、影はどんどんと大きくなる。それは凄まじいスピードで此方に近づいて来ていたのだ。
円形では無い。三角の楔のような形だ。その影は凄まじい勢いで巨大化し、最早完全に月を覆い隠そうかと言うほどに巨大化する。そして──
──鐘が鳴る──
リンゴーン、リンゴーンと、
世界樹の鐘の音と似て非なる鐘の音が、より大きく、より荘厳な、より重厚な鐘の音が、まるで自らの来訪を告げんとするがごとく、世界に向けて鳴り響く。
次の瞬間、楔
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