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SAO─戦士達の物語
ALO編
八十話 それから、これから(完全版)
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要なのだ。
和人の隣に居られるならば、ほんの少しの居場所でもそれでいいと、ようやくそう感じられるようになってきた。しかしその小さな居場所すら、彼女のは見失ったしまいそうになっていたのだ。

そう思う間にも、彼女の体は雲海へと向かってぐんぐんと落下を続ける。冷たい風がほおをなで、それが彼女の体をより冷たく、硬くする……


と、不意にその落下が止まった。
驚いて目を開けると、そこには自分を受け止めているキリトと、リョウの顔がある。

どうして、と彼女が聞くよりも、リョウが口を開く方が早かった。

「お前何処行く気だよ。もうすぐ時間だぜ?」
「遅れてもつまらないし、迎えに来たよ」
「そっか……ありがと」
にこりと笑ったリーファは、スッと翅を振るわせ、空中に立つ。
しばらく天空の月を見つめていた彼女は、不意に、リョウの方を向いた。

「ね、りょう兄……リョウさ、ダンスに会う曲演奏できる?」
「ダンス?」
「うん」
「ポップ?」
「ううん。クラシック」
リョウの問いに首を横に振ったリーファに、リョウはニヤリと笑って答える。

「……ま、多少ならな」
「じゃ、お兄ちゃん」
「ん?」
「踊らない?」
「お、どり?」
どうにもリーファは最近新しい飛行の技術を開発したらしい。ホバリングの状態で横移動をする方法らしいが、それを利用して空中でダンスを踊るらしい。
キリトはしばらく練習していたようだが、やがて慣れたらしく、上手く移動できるようになった。その間にリョウが周りに鍵盤を展開する。使用楽器は、ピアノだ。

やがて演奏が始まる。

鍵盤からはじき出されるキラキラとした光のツブの中で、浅黒い肌を持つ影妖精と、美しい金髪を持つ風の妖精が回り始める。

其々が翅を震わせるたび、薄い緑の光とスプリガンの紫がかった光が舞い踊る。

ピアノの美しい演奏は輝き続け、光はただくるくる回る。
いつまでも、何時までも回る。しかし……嬉しそうに、あるいは楽しそうな微笑みを浮かべていたリーファの顔が、急に、曇りを見せた。

「……リーファ?」
「どした?」
やがて踊りの勢いも失ったリーファに、キリトが声をかけ、リョウも演奏を止める。
リーファが小さな声で。けれどもはっきりと言葉を紡ぐ。

「……あたし、今日はこれで帰るね」
「…………」
「え……?なんで……」
訳が分からず聞き返すキリトに、リーファは続ける。

「だって……遠すぎるよ、お兄ちゃん達の……みんなが居る場所……私じゃ行けない……そこまで、行けないよ……」
「…………」
「スグ……」
口に下言葉はある意味で、リョウの中では予感としてかすかにあった言葉だった。
だから、返す言葉は、キリトのそれより、ほんの少し早かった。

「翅
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