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戦国異伝
第百話 浅井の活躍その十一
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「まことにな」
「有り難きお言葉。乳にも伝えておきます」
「宜しくな。久政殿にも」
「では。また」
「会おうぞ」
 長政は最後に一礼して近江に戻った。その兵達と共に。
 後に残った信長はそれぞれ馬に乗り居並ぶ家臣達に告げた。
「では今からじゃ」
「はい、四国に向かいましょう」
「そして三好と決着をつけましょう」
「ここで三好を下す」
 信長は前を見て家臣達の言葉に応えた。
「この戦でな、先陣はじゃ」
 織田家の今の宿敵を倒すこの戦の先陣は誰になるのか、皆固唾を飲んだ。これまでなら柴田が妥当だった。
 しかし今は滝川もいる。彼は今では織田家において丹羽と並ぶ重臣だ。宿老とまではいかないが重要な者になっている。
 そして前田に佐々も成長著しい。河尻や前野、金森もいる。織田家では戦において強い者も多いのだ。
 そのうえ蒲生も森長可もいる。誰が先陣を命じられてもおかしくない状況だった。
 その中で信長が指し示したのは。彼だった。
「やはり御主じゃ」
「それがしですか」
「そうじゃ。権六、頼むぞ」 
 柴田に顔を向けての言葉だった。
「この度も先陣は御主じゃ」
「さすれば讃岐まで一気に押し入ってみせましょう」
「御主水軍も率いられるか」
「いえ、それはしたことがありませぬ」
 こうしたことは素直に答える柴田だった。実直さにおいても織田家において知られているだけはある。
「そこは二郎に任せます」
「海での戦はじゃな」
「海での戦となれば戦いますが」
「その時は酔わぬな」
「それがし船に酔ったことはありませぬ」
「ではその時も任せた」
 確かに柴田は海で戦ったことはないが彼の戦の強さは知っていた。とにかく戦が上手だ。それでだったのだ。
「やはりこの度の先陣は御主じゃ」
「畏まりました」
「では二陣と左右の軍の将も言う」
 それぞれ佐久間、滝川が二陣と左軍の将となる。そして右は。
 信長は羽柴を見てだ。彼に命じたのだった。
「猿、御主じゃ」
「それがしが右軍ですか」
「そうじゃ。それを任せた」
 こう彼に告げるのである。
「わかったな」
「まさか。それがしに右軍とは」
「嫌ならよい」
 あっさりこう言う辺り信長だった。
「それならばな」
「いえ、嫌ではありませぬ」
 羽柴も羽柴でこう返す。
「謹んでお受けします」
「ならよい。右軍は任せたぞ」
「有り難き幸せ。それでは」
「さて、三陣は五郎左でじゃ」
 それは丹羽だった。やはり彼も外せない。
「奉行は新五郎がせよ」
「さすれば」
 林もすぐに応える。
 そして丹羽もだ。こう信長に言うのだった。
「ではそれがしも謹んでお受けします」
「これでよい。あとは幕臣も誘おう」
「幕臣の方といいますと」 
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