暁 〜小説投稿サイト〜
SAO─戦士達の物語
ALO編
七十九話 彼女のヒーロー
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
院でまで読んでいたのだ。
まぁ、お世辞にもあまり誉められた行為では無いので、普通は言いやしないのだが……

「で、その後は須郷のが知れちまったからな。こりゃ怪しいと思って、彼奴の会社とかパソコン、ALOなんか纏めて探ったら……ビンゴだ」
「じ、じゃあ兄貴……」
「まぁ、世界樹前にゃ大体の事は知ってたな」
「な、なら何で……!?」
「あの状態のお前に言えってのか?」
「うぐ……」
あの時の不安定なキリトにそんな事を言おうものなら、それこそ全く歯止めの利かない事になっていただろう。コレばかりは反論出来ないため、和人は押し黙り、明日奈が話題を変える。

「でも、それじゃリョウ本当に……」
「まぁな。一応夜中はずっとキーボード叩いてた……けどまぁALOやってっときゃ身体は休んでた訳だしよ、そんなにキツか無かったぜ?」
嘘だ。と、反射的に和人は思った。
例え生身の身体が休んでいても、脳は休みなく動いていたのだ。負担がない筈など無い。
その事は、SAOでのあの冬に、自分の身を持って思い知っている。
つまりリョウは、あの時の自分以上の休息の少なさで悲鳴を上げる脳を、あの時の自分以上の強い精神力で抑えつけて、あの危機を救ってくれたのだ。
恐らくは、あの時の自分とは違う。自身の為でなく、只一人の少女の事を想って……

「……兄貴」
「ん?」
だから和人は、言わずに居られなかった。

「お疲れ」
「ん……」
「そうだね……リョウ、お疲れ様。それと……ありがとう」
明日奈も続き、左右に座る二人から同時に頭を下げられた涼人は、何やらやり辛そうに頬を指先で掻く。

「何だよ、お前ら改まって……変なもんでも食ったのか?」
「あ、リョウ照れてるね。ほっぺ赤い」
「なん……」
「お、本当だ。何か珍しい感じだな」
「リョウにも可愛い所あったんだね〜」
微笑みながら(と言うか最早ニヤニヤと笑って)言う二人に、リョウはますますやり辛そうに、少し早口になった。

「にゃろ、明日奈からかうなよ。ったく、カズも。俺にそんな趣味ねぇから、離れろ!」
「俺にだってねぇよ!」
和人の見事な突っ込みに、朗らかな笑い声が病室に響く。

涼人の携帯端末に「麻野美幸が目覚めた」と言う知らせが届いたのはそれから十数分後の事だった。


――――


「……めんどくせぇ」
「いやいやいや。まだ病室ついても居ないだろ」
翌日、和人と涼人は、早速美幸の居る病院を訪れていた。
まぁ早速とは言っても、涼人が「別にその内で良くないか」と言ったのを明日奈と和人が「良いから行け」と言った結果なのだが……

「大体、さっきから文句ばっかり言ってるぞ。もう少し男ら
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ