第九十九話 都での戦いその六
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餅を食べ終えた。丁度その時にだ。
小姓の一人が慌てて部屋の中に入り丁度酒ではなく茶を飲んでいた信長に話した。
「殿、一大事です」
「何があった」
「都に三好の兵達が来ました」
こう話すのだった。信長に対して。
「その数二万です」
「また必死に集めてきたのう」
「それで殿、どうされますか」
「既にきまっておる」
信長は小姓の問いに答えた。そのうえでだ。
居並ぶ家臣にだ。こう告げたのである。
「では今から都ですな」
「早速向かいますか」
「そうするぞ。よいな」
信長は立ち上がる。そしてだ。
周りの家臣達にも述べる。
「すぐに都に向かう」
「そしてですな」
「公方様を」
「しかし公方様だけではない」
工も言ったのである。
「朝廷に寺社もだ」
「特に朝廷じゃ」
守る場所の話だった。
「そこは何があろうともじゃ」
「ではそちらにも兵を向けてですか」
「公方様をお救いになられますか」
「そのつもりじゃ。しかしじゃ」
「しかし?」
「しかしとは」
「三好も考えたものじゃな」
満足している顔での言葉だった。
「川を使うとはのう」
「淀川を使ってきたと思います」
丹羽はすぐ述べた。
「やはり」
「それしかないな」
信長も丹羽の言葉に応えて言う。
「摂津や播磨には入られぬからのう」
「しかもどの国もです」
丹羽はさらに言う。
「兵は多いです」
「それをわかってじゃ」
「川を船を使って都に下るのですか」
「攻め方は一つではない」
こうも言う信長だった。
「その中にはじゃ」
「船を使うものもあるのですな」
「船は海だけで使うものでもない」
信長はまた言う。
「川でも使えるではないか」
「確かに。それは」
「五郎左、明の書じゃが」
「明といいますと」
「三国志じゃ」
信長が今話すの箱はこの書のことだった。
「あの書にあったな」
「赤壁ですか」
「そうじゃ。やはり知っておったな」
「本朝でjはああした川がないので」
丹羽はこう信長に答える。
「海のことばかり考えておりました」
「確かに本朝には大きな川はない」
「はい、黄河や長江の様なものは」
「しかしそれでもじゃ」
「ああした戦はできますか」
「そういうことじゃ。水を使う戦はな」
そうした意味でだ。三国志の様な戦はできるというのである。
このことを述べてだ。信長はさらに言うのだった。
「既に二郎に言って手筈は整えておる」
「ではこれからですか」
「そうじゃ。動くだけじゃ」
実際にだ。そうしてだというのだ。
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