第九十八話 満足の裏でその十
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「あの家は」
「来ればその時は」
「戦をするだけじゃ」
目を鋭くさせてだ。信長は言った。
「しかしあの者も一角の人物ならな」
「織田家に加えるというのですな」
「そうじゃ。そうする」
まさにだ。そうするというのだった。
「無論な。しかしまずはな」
「三好ですな」
「何とかするか。正月にな」
「はい、それでは」
こうした話をしてだった。信長はこの話を終え他の政のことも平手と話すのだtった。そうした話をしていたのだった。
信長は三好が動くと見ていた。そしてそれはその通りだった。
三人衆は己の軍勢に対して言っていた。具足は既に着けている。そのうえで足軽達に対して言うのだった。
「よいか、それではじゃ」
「今より都に向かうぞ」
「この戦に我等の全てがかかっている」
「それならばじゃ」
「覚悟して向かうぞ」
戦の場にだ。そうすると話すのだった。
三人衆のその話を聞いてだ。足軽の一人が彼等に問うた。
「あの、いいでしょうか」
「うむ、何じゃ」
「どうかしたのか」
「はい、都に向かうとのことですが」
このことについてだ。足軽は問うたのである。
「摂津や播磨に入るのならともかく」
「都は遠い」
「今の我等にはというのじゃな」
「はい、そう思いますが」
この足軽はこう言うのだった。
「船で川からですか」
「都に向かうのじゃ」
「うむ、そうじゃ」
「その通りじゃ」
三人衆はそれぞれの口で足軽の問いに答える。
「都に上がる」
「そうするぞ」
「ああ、さすればですな」
ここでだ。足軽ははっと気付いた顔になった。
それでだ。こう言ったのである。
「川ならば一気にですな」
「行けるのう、馬よりも早く」
「それもできる」
「ううむ、では今度こそ」
足軽は腕を組み納得した顔で言う。そしてその足軽のところに龍興が来てそのうえでこんなことを言ってきたのだった。
「わかったならばじゃ」
「はい、手柄をですな」
「首を取れ。狙うのはじゃ」
誰の首なのかとだ。龍興は憎しみで燃える目で言った。
「信長じゃ」
「織田信長ですか」
「そうじゃ。あ奴の首じゃ」
こう言うのである。
「あ奴の首を取れ。よいな」
「公方様ではなく」
「うむ、違う」
こうも言うのだった。
「公方様はどうにでもなる。しかしじゃ」
「織田信長はですか」
「あ奴は絶対に来る。それにじゃ」
「その首は安くないと」
「そういうことじゃ。ではよいな」
「はい」
足軽は確かな顔、確かな声で答えた。
「さすれば」
「そうじゃな。狙うな」
「そして織田信長の首を取ればその時は」
「褒美か」
「それはどうなるでしょうか」
「思いのままじゃ」
にやりとなってだ。龍興は足
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