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SAO─戦士達の物語
ALO編
七十五話 届かなかった一歩
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た──

「きゃあっ!?」
すると鎖が巻きあがり、アスナを足先がギリギリ着くかと言うところまで釣りあげる。
もう片方も同じように拘束すると、いまだに残る強烈な重力の感覚によって顔を苦痛にゆがめるアスナに、腕組みをして須郷は言った。

「いいねぇ、やっぱりNPCじゃその顔は出来ないよね」
「……っ!」
アスナは須郷を睨みつけると、俯き瞼を閉じる。
須郷は低く笑いながら、彼女の後ろに回ると、髪を一房取って鼻に当てて大きく息を吸い込んだ。

「うーん、やっぱりいい香りだねぇ。アスナ君の香り、再現するのに苦労したんだよ?病室に解析機まで持ち込んだ僕の努力を評価してほしいよ」
「やめろ……やめろ須郷ォ!!」
凄まじい奮怒がキリトの体を貫き、床に手をつくと、システムの重圧を押しのけてキリトは立ち上がろうとする。

「ぐ……おっ……」
ゆっくりと持ちあがって行く身体。しかし須郷は芝居がかった動作で首を左右に振ると……

「まったく。良いからおとなしく……這いつくばってろ!!」
行き成り両足を蹴り払われて、キリトは再び地面に叩きつけられた。

「ガっ!!」
倒れ伏し、灰の空気を吐き出した後もキリトは須郷の事を睨もうとするが……突如その背に、須郷によってキリト自身の剣が突き刺さった。

「グッ……!」
「き、キリト君!」
悲鳴じみた声を上げたアスナに、キリトは顔を上げて問題無い事を伝えようとする。しかしそれよりも早く……

「システムコマンド!ペイン・アブソーバー。レベル8に変更」
「……!?グゥッ……」
突然、キリトの背中に、錐を打ちこまれるような痛みが走った。思わずうめくキリトニ、須郷が嘲笑する。

「おいおい、まだまだつまみ二つだよ?君ィ……まぁ段階的に強くしていくから、楽しみにしていたまえ。レベル3以下だと現実に戻っても後遺症の危険があるらしいがね。ククッ」
「す、須郷!キリト君を解放しなさい!」
アスナが叫ぼうが、相変わらず須郷は耳を貸そうとはしない。

「僕はねぇ、こういうガキが一番嫌いなんだよ。何の力も無いくせに、口だけは一丁前のガキがね。そういう意味ではあの生意気な糞ガキにもこの場に来て欲しかったものだが、まぁ良いだろう。……あぁ、そう言えば……」
と、須郷は突然何かを思い出したかのように、アスナの方を向いた。
アスナは正面から須郷を睨んだままだが、須郷の表情はそれを楽しむようにまたしても歪む。

「アスナ君。君確かさっき面白い事を言っていたよね?」
「何ですって……?」
「じつはねぇ……今日この場に、特別ゲストを用意している」
ククク。と須郷が笑うのを見て、アスナは更に疑問を顔に浮かべたが、その顔が突如、何かに気付いたかのように大きく目を見開かれた。

「ま……さか……
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