ALO編
七十五話 届かなかった一歩
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この……」
須郷の言葉に、アスナが悔しげに表情をゆがめる。
「元SAOプレイヤーの皆さんの献身的協力によって、思考及び記憶操作技術の基礎は既に八割がた終了している。人間の魂を直接制御すると言う神の技が、もう少しで僕の手中ととなるのさ!し、か、も!本日めでたく新しい実験体を手に入れたわけだ!いやぁ、楽しいと思うね!キミの記憶を覗き、感情を書き換える!考えただけでも震えが止まらないよ!!」
「そんな……事が、出来るわけが……」
須郷がキリトの頭に足先を乗せ、トントンと上下に動かす。
「君ィ、どうせ性懲りも無くナーヴギアで接続しているんだろう?だったら条件は他の皆さんと一緒だよ?本当、馬鹿だよねぇ子供は。犬だって一度蹴られればしちゃいけない事くらい覚えるだろうに」
「そんな……そんな事許さないわよ須郷!」
アスナが再び怒鳴るが、その顔からは血の気が引いている……
「キリト君に……キリト君にまで手を出したら……絶対に許さない!!」
「やれやれ、小鳥ちゃん。きみのその憎悪も、時期にボタン一つで服従に変わるよ」
最早何かに酔ったような顔で、須郷は言う。そうしてそれまでもてあそんでいたキリトの剣の刀身を、指先で撫でた。
「さ、て!!いーよいよ待ちに待った瞬間だ!!君達の魂の改竄を行うその前に!楽しいパーティと行こうじゃないか!!待ちに待ったよこの時!!最高のお客様も来て下さった。待ったかいがあったよ実に!!」
異常なほどに高くなった声で言うと、須郷は振り向いて大きく手を開いた。
「只今、この空間の全ログを記録中だ!せいぜい良い顔してくれたまえよ!?」
「……」
圧倒的有利な条件を持つ須郷を睨みながら、アスナはきつく唇を結ぶ。そうして早口で、キリトに囁いた。
「キリト君、今すぐにログアウトして。現実世界で須郷の陰謀を暴ければ、何もかも白日にさらせる……私は、大丈夫……」
「アスナ……!」
おそらくはプログラムコードによってこの空間に固定されていないキリトなら。と思った故の発言だろう。しかしキリトは一瞬、かなり葛藤した。今の須郷の前にアスナを残していけば、何をするか分からない。しかしそうしなければ……
結局キリトは直ぐに頷くと、左手を振った。これだけの証拠があれば、物的証拠が無くとも、あるいは……
──しかし非情にも、ウィンドウは出現しなかった。
「ヒィヤハハハハハハハハ!!君達は本当に馬鹿なんだね!言っただろう!?此処は僕の世界。誰も此処からは逃げられやしないんだよ!!」
腹を抱えて笑った須郷は、今度はパチンと指を鳴らした。
突如、上空から、二本の黄金の鎖が金属質な音を立てながら降りてきた。それぞれの先には、手錠のようなものが付いている。
須郷はそれをアスナの片手首に付け、闇に伸びて居た鎖を引い
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