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SAO─戦士達の物語
ALO編
七十五話 届かなかった一歩
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前はやめたまえよ。それに、君達の王の御前だよ?跪いているその姿勢はまぁ褒めてやってもいいとして、王を呼び捨てとは全く無礼極まりない……妖精王オベイロン陛下と……そう呼べっ!!」
突如、言葉の語尾が跳ね上がって絶叫に変わった。何かが、キリトの頭を強かに打ちつける。

そこには一人の男が立っていた。
深い緑色の長衣を見にまとい、顔にニヤニヤとした笑いを張り付けている。その顔は不自然なほどに端正で、アスナとは違うその生気の無い美貌は、それが作り物の顔である事をありありと示していた。

「オベイロン──いえ……須郷!!
アスナが、必死に顔を上げながらオベイロンを睨む。

「あなたのした事、全てこの目で見たわ!あんな、あんなひどい事を……あの子を……許されないわよ……絶対に!!」
「おーやおや怖い怖い。それで?誰が許さないって?君かい?この彼かい?あ、それとも神様かな?でもねぇ残念ながら神様はこの世界にはいないんだよ……僕以外にはね!」
ヒヒヒッと気味の悪い笑い声を上げながら、須郷を体をよじり、次いでキリトの頭へとブーツをはいたその足を思い切り振りおろす。
耐えきることなど出来るはずもなく、キリトは床に叩きつけられ、這いつくばった。

「やめなさい、卑怯者!」
アスナの言葉など、耳にも入っていないのだろう。須郷はその言葉を無視して、にたりと笑いながらキリトの背から剣を引き抜く。それを指先でくるくると回転させながら、再び口を開いた。

「それにしても桐ケ谷君……いや、この場合ではキリト君と呼ぶべきかなぁ?よーくこんな所まで来れたものだねぇ……まったく、正直驚いているんだよ?君の勇敢さ……いや、そうやって這いつくばっていると言う事は、愚鈍さかな?此処まで愉快な姿だとどちらでも笑ってしまうけど……ヒヒッ、全く、かごの鳥が逃げ出したって言うんで、今度こそきついお仕置きをくれてあげようと急いで戻ってみれば、いやぁ、驚いた驚いた!まさか籠の中にゴキブリが居るとは思わなかったよ君!あぁ、そう言えばもう一つ妙なプログラムが動いていたな……」
須郷は左手を振ってウィンドウを表示させると、フン、と不機嫌そうに鼻を鳴らした。

「逃がしたか……まぁ良い。所で君、あれは何だい?そもそもどうやって此処まで来たのかな?」
「っは……飛んで来たのさ。この翅で」
ユイが削除された訳ではないと知り、安堵した事で少し余裕の出来たキリトが答える。その態度に、須郷は寄り不機嫌になったようにもう一度鼻を鳴らした。

「ふん……ま、良いさ。君の脳みそに直接聞けば済む話だ」
「──なに?」
いぶかしげに眉をひそめたキリトに、須郷はニタリと気持ちの悪い笑いを浮かべる。

「おやぁ?キミまさか、僕が酔狂でこんな仕掛けを作ったと思ってるんじゃないだろうね?」

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