ALO編
七十四話 全力全壊
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負けたのを、自分はまだ一度も見た事が無い……
そうこう言っている間に説得する。キリトも気づいているのだろう。眼前の守護騎士を斬り倒しながら、その口角が少しだけ上がっているのが分かる。
やがて笛の音と共に、本来ありえないはずの音が聞こえ始める。なめらかな弦楽器の音が、硬質な金管の音が、堅く締まった打楽器の音が。
いくつもの音が一つの笛の音の下に重なり合い、そして、その力は発動する。
『ほら、行け』
交響曲・舞い踊れ妖精の如く(フェアリィダンス)
その効果は、「パーティメンバー全員の物理、魔法攻撃力・物理、魔法防御力の上昇」
その上昇数値たるや凄まじく、「通常値×1.5」だ。なおかつ、演奏に用いられているのは《魔笛・セイレーンの笛》。それにより、上昇効果が倍加効果である場合計算値の効果に「+0.3」。
つまりこの場合計算値は「通常値×(1.5+0.3)=通常値×1.8」である。
そしてさらに、リョウは現在その演奏効果が範囲の及ぶ設定を変更。周囲全域にしている。
これらを総合する結果、現在の「交響曲・舞い踊れ妖精の如く」の効果は「自身の演奏が届く範囲にいる全ての妖精及び味方ユニット全員の物理、魔法攻撃力及び物理、魔法防御力を[通常値×1.8]に上昇」
これがどれだけ滅茶苦茶な効果であるかは、MMOをプレイした事のある読者であれば分かるはずである。そうでない読者諸君にも、「軍隊の強さが行き成り1.8倍になる」と言えば分かりやすいだろう。極論の単純計算をすれば、現在の味方軍団の数が80人だとして、彼らの本来の力と同じ強さの守護騎士を、一斉に140人までならば相手にできる計算だからだ。
その最後の一押しの効果は覿面で、ズガァッ!!バギャアッ!!と金属の砕け散るような音を響かせながら、守護騎士達は凄まじいスピードで突破されていく。
そしてついに、キリトが天頂の大門直前まで接近した。その前を、妖精剣士たちの抑え込みを突破した守護騎士、おおよそ25匹以上が、行かせんとばかりに塞ごうとする。
しかし、少女は、青年は知っている。そんなもので止まるほど、今のキリトの勢いはゆるくない……!
「キリト君!!」
それまで息のあった完璧なタイミングによってキリトの援護をしていたリーファが、反射的だろう動作で自分の剣をキリトに投げる。その瞬間、キリトの両手にそれぞれ、一本の剣が収まった。
「う──」
「行け、キリト」
ため込むように腹に力を入れたキリトの唸りと、リョウの言葉が重なり……
「オオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォ!!!!!」
大地を、空を、世界樹すら揺るがすだろうと感じるその雄叫びが、まるで吹きあがるコロナの如く、発射された。
その勢いは最早、無機質なシ
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