第九話 浮野の戦いその七
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「それじゃな」
「青は木、だからですか」
「うむ、それで我が軍は木じゃ」
「それはいけませぬな。木は火に弱いものです」
平手は信長の今の言葉に顔を曇らせて返した。
「それではです」
「やれやれ、ここでも爺は手厳しいのう」
「しかしです。殿」
「うむ」
ここで顔を引き締める信長であった。そのうえで平手の話を聞く。
「これで終わりではありませぬぞ」
「そうじゃ。まずはじゃ」
「はい」
「一戦交えて下がる」
こう言うのであった。
「よいな」
「はい、そしてそのうえで」
「それからじゃな」
こんな話をしてだ。まずは槍を交えた。しかしここで。
「むっ、鉄砲が少ないぞ」
「そうじゃな。確かにな」
信賢の兵達もこのことに気付いたのである。
「清洲の時は大層持っていたというが」
「それはないのか?」
「どういうことじゃ、これは」
「それにじゃ」
信長の軍勢は鉄砲を撃たないだけではなかった。しかもだ。
これといって戦うことなくだ。兵を退きだしたのである。
「それに何じゃ、もう逃げたのか」
「随分と早いな」
「うむ、何を考えておるのじゃ」
「これは一体」
いぶかしむ彼等だったがここで、だった。
信長の軍勢はさらに退いていく。脱兎の如き速さだ。それを見て信賢は信長の軍が自分達の勢いを恐れて逃げ出していると考えた。
「よし、今じゃ!」
「ここでさらにですな」
「追撃を」
「そうじゃ、追え追え!」
こう命じてだった。兵をさらに進ませるのであった。
兵を進ませそのうえでだ。逃げる信長の軍勢をさらに追う。
そうして追いつき追い詰めたと思った。その時だった。
「よし、今ぞ!」
「はっ!」
「それでは!」
「撃て!」
信長自ら命じたのであった。
その瞬間にだ。鉄砲の轟音が戦場に鳴り響いた。
そしてその無数の弾丸がだ。今まさに迫らんとする信賢の軍を撃ち据えた。
「なっ、ここでか!」
「やはり持っていたか!」
「おのれ!」
信賢の軍勢から驚きと呪詛の声がする。そうしてだった。
「攻めよ!」
信長が再び命じた。するとであった。
長槍が出て来てだ。信賢の軍勢を叩く。
「な、何て長さだ」
「あんな長い槍だったのか」
「あれが弾正の軍の槍か」
「何という・・・・・・」
唖然とする彼等を打ち近寄らせない。そうしてだった。
信長の軍勢は信賢の軍勢を寄せ付けない。信長はそれを見て傍らにいる林に言うのだった。
「さて、それではだ」
「はい」
林も彼のその言葉に応える。
「まずはですね」
「最初じゃ。火矢を放て」
こう命じた。
「よいな」
「はっ、それでは」
林はすぐに己が直接率いる者に火矢を放たたせる。するとであった。
「よ
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