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戦国異伝
第八十八話 割れた面頬その十二
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「まあそう言わずにじゃ」
 羽柴はその猿面の笑顔で述べる。
「見てみようぞ、松永殿をな」
「猿がそこまで言うのならな」
 信行がだ。はじめに折れた。
「まあよいか」
「よいですか」
「もう少しだけあの男を見ても」
「うむ、猿に免じてじゃ」
 横目で羽柴を見ながらだ。信行は他の面々に話す。
「ここはもう少し見ようぞ」
「そうですか。それでは」
「我等もまだ少しだけ」
 他の者達も折れた。ここでは松永を除くことは諦めた。
 しかし松永への疑念と危惧は消えなかった。織田家はその中で和泉に向かう。摂津からすぐにその和泉に入りだ。本願寺と向かい合うのだった。


第八十八話   完


                          2012・4・22
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