第八十八話 割れた面頬その六
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「間違いなくじゃ。あの男じゃとな」
「三好に加わりそのうえで、ですか」
「織田家と戦いますか」
「そうじゃな。しかしじゃ」
それでもだとだ。滝川はまた言った。
「ここで逃す訳にはいかぬ」
「はい、では再び」
「鉄砲で狙い撃ちますか」
「うむ、狙え」
まさにだ。そうせよというのだ。彼のその言葉を受けてだ。
足軽達は鉄砲でその男、龍興を狙い撃つ。だが、だった。
馬は速く鉄砲は全て外れてしまった。こうしてだった。
龍興が率いる三好の兵達は囲みを突破する形で僅かながら逃げ延びた。だがそれによってだ。
織田軍はこの城、勝龍寺城を手に入れた。信長が本陣に入るとだった。
主の場に座る彼の下にだ。次々と方が入ってきていた。
「ふむ。芥川山城も陥ちたか」
「はい、その他の摂津の城もです」
「あらかた陥ちました」
「残った城も時間の問題です」
「うむ、わかった」
そのことを聞きだ。信長は満足している顔で頷いた。
そのうえでだ。こう言うのだった。
「では摂津のほぼ全ての城が手中に入ればじゃ」
「次は和泉ですか」
「そこに向かいますか」
「堺に向かう」
具体的にだ。そこに入るというのだ。
「どうやら堺は三好になびいておる様じゃからな」
「では尚更ですか」
「堺に向かいますか」
「我等のこの軍を見て降ればよい」
あくまでだ。それが理想だというのだ。
「しかし歯向かうならばじゃ」
「堺とて、ですか」
「あの町であっても」
「倒すまでじゃ」
その場合はあくまでだ。そうするというのだ。
「商人であっても敵ならば容赦はせぬ」
「ではその前にですな」
ここで言ったのは竹中だった。
「堺を降らせますか」
「そうする。それが一番じゃ」
「ではこの度も」
「新五郎達は今しがた伊賀を降したばかりじゃしな」
もうだ。信長は堺に送る人間について考えだしていた。
「あまり負担はかけられるな」
「左様ですな。新五郎殿はこの度もかなり働いておられます」
「こうした話のことならあ奴が一番じゃ」
そうした意味で林は重宝するというのだ。信長は家臣がどの務めに適しているかをよくわかっていた。だからこそ彼はそちらに向かわしたのだ。
「あ奴は政の者じゃが特にああしたことは得意じゃ」
「しかし伊賀で働かれたからですか」
「流石に疲れておるじゃろう。だから堺には他の者を向かわせたい」
「では誰を」
「うむ。少し考えてみる」
こう話してだ。そのうえでだった。
信長は堺のことも考える。そしてだった。
織田家は摂津をほぼ完全に手中に収めた。そしてだった。
彼のところに大和からの滝川達の軍勢だけでなく播磨からの信行達の軍勢も来た。その数を見てだ。彼は確かな笑みでこう言ったのだった
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