§小ネタ集part2
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ご隠居様の私的な友人かなにかかな? ……いや、まつろわぬ神に人間の友が居るはずなどないか」
書類の内容を頭に叩き込んでいく。その最中にふと湧いた思考。ありえないと一蹴したこの考えこそが、真実であるを沙耶宮馨はまだ知らない。
「監視は……やめておこう。バレた際のリスクが大きすぎる。恵那が情報をくれるとは考えにくいけど、一応聞いてみることにしておこう。恵那がこんな長期間山籠もりに行かないというのも引っかかるんだよね。そこから何か掴めるかもしれない」
神懸りをする巫女は強大な力を得ることが出来る。しかし、そのかわりに彼女たちは俗世の穢れに身を汚すことは許されない。恵那も例外ではない筈なのだ。にもかかわらず、彼女は春からずっと彼の住処に居座っている。霊山に行くこともあるようだが、頻度も期間も以前とは比べ物にならない。もはや行っていないも同然だ。上層部の一部には「清秋院家の娘が駆け落ちした」などと言う者が出始める始末。一歩間違えれば分裂しかねない状況だったにも関わらず古老がこの行動を黙認していたのは、宿泊先が彼らの手の内だったからなのだろう。だが、だとすれば彼女が霊山に行かなくなったのにも理由がある筈なのだ。
「そうそう、その件なのですがね」
事の真偽はわかりませんが、と前置きして甘粕は馨にとんでもないことを言い放つ。
「彼の家、この前お邪魔してみたんですよ」
「……は?」
「彼の周囲をそれとなく探ろうとしましたらあっさりとバレてしまいまして。彼の部屋でお茶を頂いてきました」
隠密に関して言えば最高峰の実力者である甘粕を容易く発見する。黎斗の脅威を再確認した馨は、黎斗が凄まじいまでの気配察知能力保持者と認識したのだが実際は異なる。
いかに黎斗でも甘粕の隠行の術を察知することは出来なかった。せいぜいが「なんか見られてる気がするなぁ……」レベルの話である。だから黎斗がもしカンピオーネでなければ、この事態は起こらなかっただろう。甘粕の誤算は、黎斗がカイムの権能”繋げる意思”を所持していたことだ。いかに甘粕といえど、大自然全てからその身を隠すことなど出来るはずもない。
「……なにをやってい」
「それでですね、入った時に感じたんですが彼の部屋は人間のものじゃありません。ラノベとかゲームが乱雑に置かれてるんですがね、澱みが全くないんですよ。下手な霊山を凌駕する聖域ですよ、あそこ。最初入ったとき震えが止まりませんでした」
馨の叱責を回避するため、彼女の言に割り込んだ彼は言いたいことを言って肩をすくめた。
「……お灸は後回しだね。とりあえず合点がいったよ。それならわざわざ山に行くことはないだろう。不肖の部下が行ったことを謝罪するためにも直接こちらから会いに行こうか。二
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